日本相撲協会は26日午前、愛知県体育館で大相撲秋場所(9月10日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議と臨時理事会を開き、関脇豊昇龍(24、本名スガラグチャー・ビャンバスレン=立浪)の大関昇進を正式に決定する。元横綱朝青龍を叔父に持つサラブレッドは話題性も十分。一方で、今回の飛躍の背景には〝叔父離れ〟も要因にありそうだ。

 まもなく「大関豊昇龍」が正式に誕生する。先の名古屋場所では初優勝を果たした。初土俵から所要33場所での優勝は歴代9位、大関昇進は同10位のスピード記録(年6場所制となった1958年以降。幕下、三段目付け出しを除く)。豊昇龍は「まだまだ上の番付(横綱)がある。そこに向けて一生懸命稽古して、上までいきたい」と早くも頂点を見据えている。

 豊昇龍の飛躍を誰よりも強く願ってきたのが、元朝青龍だ。優勝後にはビデオ通話で祝福し、涙を流しながら「よくやった」とほめた。豊昇龍のことは少年時代から、わが子のようにかわいがってきた。角界入り後は、期待が大きいがゆえにSNSなどを通じて厳しい言葉を投げかけたこともある。2年前に九州場所を観戦した時には目の前で黒星を喫した豊昇龍に対して「コノヤロー。ケツを2、3発、叩きたい」と目をつり上げた。

 大横綱の厳しすぎる態度に耐えかねて、豊昇龍は叔父からの連絡を〝着信拒否〟にしていたこともあるほどだ。今では元朝青龍も、おいを気遣って〝スパルタ教育〟を封印。一歩引いた位置から、静かに奮闘を見守ってきた。元横綱は6月3日に開かれた鶴竜親方(元横綱)の断髪式に出席した際、豊昇龍について次のように語っている。

「俺から何かガーガーと言う立場でもない。俺も(現役だった)当時は〝昔はああだった〟と、いろいろ言われてきたけど、そういうことは聞かずに。相撲を取るのは本人しかいないからさ。(課題は)本人も分かっているし、努力していい相撲を取りたいと一番、思ってる。(場所中は)豊昇龍とはあんまり話さないし、本人も話したくないんじゃないか」

 一方で、今回の名古屋場所中も師匠の立浪親方(元小結旭豊)に何度も連絡を入れて豊昇龍の様子を確認するなど〝親心〟をのぞかせていたという。そんな叔父の思いを、豊昇龍も肌で感じている。名古屋場所前にモンゴルへ帰省した際には、元朝青龍と濃密な時間を過ごし、初優勝と大関昇進を約束。叔父の期待に見事に応えてみせた。

 まだ実績では元朝青龍に遠く及ばない。ただ、以前に比べて豊昇龍が少しずつ偉大な叔父から〝一本立ち〟しつつあることは確か。大横綱の血を引く宿命を乗り越え、自らの力で「豊昇龍」の看板を打ち立てていく戦いが、ここから始まる。