禁断の核ボタンに手を触れるのか。ロシアによるウクライナ侵攻でクラスター弾が使用された。クラスター弾は米国が今月からウクライナに供与していた。ロシア軍には以前から使用のウワサがあった。専門家はクラスター弾による戦局の変化により、プーチン大統領が核兵器を使用する可能性を指摘している。

 ロシア軍は22日にウクライナ南部ザポロジエ州でウクライナ軍がクラスター弾を使用したことで、国営ロシア通信の記者1人が死亡したと発表した。

 ロシア軍もまたクラスター弾を使用していた。ドイツ公共放送ドイチェ・ウェレによると、22日にウクライナ東部ドネツク州で取材中のカメラマンがクラスター弾で負傷。この攻撃でウクライナ兵が1人死亡したという。

 クラスター弾は多数の子爆弾が入った爆弾のことで、殺傷能力が高く無差別に犠牲を生みやすい。民間人が巻き込まれるケースも多く、使用を禁止する条約があるほどだ。

 それだけに戦局を転換する威力を持っており、だからこそ米国がウクライナに供与したともいえる。しかし、このクラスター弾がプーチン氏を核兵器使用に駆り立てるのではないかと恐れられている。

 元英国陸軍将校で現在は防衛産業アナリストをしているニコラス・ドラモンド氏は英紙エクスプレスに対して、戦況を分析。クラスター弾の使用が転換点となり、戦局に大きな変化をもたらす可能性があると指摘した。

「ウクライナは前進し、失地を回復するだろう」と米国供与のクラスター弾はウクライナを利すると解説。ロシア軍は崩壊しないまでも、「現場の士気と指導力、補給、武器などは限界点まで追い込まれている。ウクライナのクラスター弾でロシア軍が逃げ出すこともある。それは重大なことだ」と話した。

 窮鼠猫をかむという言葉があるが、ロシアは強国。追い詰められたら“かむ”どころではない。プーチン氏なら核兵器を使用しかねないとの懸念があるのだ。ロシアの数少ない味方である中国の習近平国家主席ですら、「プーチン大統領に核兵器の使用を個人的に警告した」(同紙)という。

 それらの警告をプーチン氏が無視したらどうなるのか。ドラモンド氏は「NATOはウクライナのロシア軍を攻撃し、文字通り完全に破壊するだろう」と予測。さらに、「中国はプーチンを完全に勘当し、もし中国がプーチンに対抗して我々の側に付くことにでもなれば、ロシアにとっては大きな影響となるだろう」とプーチン氏に警告した。

 ウクライナのクラスター弾使用の持つ意味は大きかった。