〝完走〟にこだわる理由とは? 大相撲名古屋場所9日目(17日、愛知県体育館)、新大関の霧島(27=陸奥)が幕内明生(27=立浪)を突き落として3勝目(4敗2休)。勝ち越しさえも厳しい状況が続く中、改めて千秋楽まで土俵に立つ覚悟を示した。右肋骨の故障を抱えながらも、あえて〝いばらの道〟を選択した理由は何なのか。師匠の陸奥親方(64=元大関霧島)を直撃した。

 霧島が〝辛勝〟で星を拾った。明生に土俵際まで一気に攻め込まれたが、最後は体を開きながら突き落とし。連敗を2で止めた取組後は「一日一番ですね。しっかり相撲を取っていきたい」と前を向いた。大関デビューの今場所は、初日に「右肋骨骨挫傷、約3週間の安静加療を要する見込み」との診断書を提出して休場。4日目から強行出場に踏み切った。

 ただ、ここまでの成績は3勝4敗2休。来場所のカド番を回避するためには、残りの6日間で5勝が必要となる計算で、苦しい土俵が続いている。それでも、霧島は「(途中出場するにあたり)最初に親方と『出たら休めない』と話したので。最後まで取らないとダメ」ときっぱり。今後の勝敗にかかわらず、千秋楽まで土俵を務めることに強い意欲を示した。

 そこまで〝完走〟にこだわる理由は何か。師匠の陸奥親方は、次のように説明する。「体の痛みは本人にしか分からない。それでも、出ると決めた以上は痛いとか言っていられない。変な相撲のまま終わりにしてしまったら、周りから『なんだ、(途中出場せずに)休んだほうがよかったじゃないか』と言われる。勝ち負けは別にして、大関としての意地を見せてもらいたい」

先代霧島の陸奥親方
先代霧島の陸奥親方

 今場所を全休して万全の状態で来場所の完全復活を目指す選択肢もあった中で、途中出場に踏み切った。成績不振で再び休場すれば、周囲から批判を受けることは覚悟の上。仮に勝ち越せなかったとしても、千秋楽まで大関らしい相撲を見せて役割を全うしてほしい…。それが師匠の願いだ。一方で、今回の強行出場はまな弟子の「今後」を見据えた判断でもある。

 陸奥親方は「横綱や大関になったら孤独。誰も助けてくれないし、強いメンタルがなければ務まらない。横綱にもなれば、もっとプレッシャーがかかると思う。もし上を狙うのであれば(今回のような苦境を)自分の力で克服していかなければならない。本人にとってはいい経験になるし、来場所以降のためでもある」と力説した。

 あえて〝いばらの道〟を選んだ新大関は、果たして千秋楽まで土俵に立ち続けることができるのか。その動向に、引き続き注目が集まる。