ロシアの傭兵集団「ワグネル」の創設者であるエフゲニー・プリゴジン氏が現地時間の6月23日夜(日本時間24日未明)に武装蜂起を宣言した。
「ワグネル」はロシア南東部ロストフ・ナ・ダヌーの軍施設などを占拠した。プーチン大統領は、テレビで国民への呼びかけを行い、プリゴジン氏らの行為を裏切りと位置付け、徹底的に鎮圧すると宣言した。傭兵集団はモスクワに向かったが、途中、プリゴジン氏がルカシェンコ・ベラルーシ大統領の説得に応じ、蜂起を中止した。プリゴジン氏はベラルーシに亡命することになり、傭兵集団は当局に帰順した。十数時間でこの騒動は終わった。
英国防省や米国のネオコン(新保守主義者)系シンクタンク「戦争研究所」は、ロシア軍高官でプリゴジン氏を支持した人々がいる、プーチン大統領の権力基盤が危うくなったとの見方を流しているのに影響され、日本の有識者でも、自分の頭で考えずにプーチン政権の「終わりの始まり」という見方をしている人がいるが、根拠薄弱だ。
筆者は、ロシアの政治学者アレクサンドル・カザコフ氏(与党「公正ロシア」幹部会員[非議員])が25日に通信アプリ「テレグラム」に投稿した内容が説得力があると考えるので紹介する。「本件は未遂に終わった軍事クーデターである。実際にはもう少し後で実行される予定だった。しかし、クーデターは性急に開始されなければならなくなった。おそらく金曜日の夜、プリゴジンは信頼できる情報源から、(軍の信用を失墜させる記事を理由に)彼を拘束するか、抹殺するかのどちらかを決定したという情報を得たのだろう。陰謀の一環として、モスクワにいるプリゴジンの“一味”は、プーチン大統領の解任、ショイグ国防相とゲラシモフ参謀総長の逮捕を実現するつもりだった。(これは私の考えだが)プーチンがクーデターの情報を事前に入手し、モスクワのプリゴジン“一味”の関係先を捜索させたのであろう。
その結果、最高司令官(プーチン)への忠誠を最初に公に表明したのはモスクワの“一味”だった。プリゴジンは、モスクワに向かうときにクーデターが失敗したことをすでに知っており、自分にとってより有利な条件を交渉しようとしただけだった。せめて命だけでも助けてもらい、どこか遠い国で新たな契約を結ぼうとしたのだ。クーデターの陰謀を決起前に明らかにし、プーチンに警告を発し、作戦を練る時間を与えた特務機関のおかげで、クーデターは回避された」。
これが実態に近いと思う。










