【第13回 YES NO】
君を抱いていいの 好きになってもいいの♪ 相変わらず昭和歌謡テイストでお届けしておりますが、今回は「NO」なくして「YES(エレクト)」なしというお話。
父の男性更年期外来の治療では、テストステロンが低下して、男の生理である朝立ちが喪失している患者さんに、テストステロン補充療法に加えPDE5抑制剤、いわゆるED治療薬を処方することがありました。
朝立ちはペニスの血管壁の平滑筋が、レム睡眠中に副交感神経の興奮刺激に反応して弛緩し、血流を通すことで起きています。平滑筋を弛緩させるNO(一酸化窒素)はテストステロンによる産生促進作用で作られています。つまり、テストステロンが低いと、NOが足りないのでしっかり勃起できません。
一方、そのNOで作られる「サイクリックGMP」という物質が直接ペニスの平滑筋に作用しているのですが、それを壊すのが先ほど治療薬のところで出たPDE5という酵素で、これは年を取ると増えてきます。せっかく作られたものが破壊されては十分に勃起できませんから、PDE5を抑制する薬、ED治療薬を使うわけです。
朝立ちが消えつつある患者さんにはテストステロン低下に加え、PDE5酵素が増えている人が多いので、父はシアリスを処方していました。すると、早朝勃起が回復する方がほとんど。それでも回復しない場合は、やはりテストステロン低下でNOが低下しているのが明確なので、テストステロン補充を継続していきました。まさに「NOがあればYESを可能にしてくれる」ということですね。
PDE5阻害薬は血菅を拡張し血流を良くするので、血管の若返りを促す効果も期待できますが、これらのED治療薬は医師の処方箋が必要なので、必ず医療機関を受診すること。ネットで気軽に買えるものの中には偽物もありますので、くれぐれもお気をつけください。
☆くまもと・みか 医療ライター。男性医学の父・熊本悦明の二女。男女更年期、性感染症の予防と啓発、性の健康についての記事を主に執筆。2019年に山手線内で心肺停止で倒れた経験から、救命救急、高次機能障害、リハビリについても情報発信している。著書に「山手線で心肺停止!アラフィフ医療ライターが伝える予兆から社会復帰までのすべて」。












