【第12回 時間よ~止まれ♪】
前回は保険適用範囲の2週間に1回のテストステロン補充なら数千円とお伝えしました。一方、高齢だったり、症状が重く、毎週の投与が必要になると保険外診療になります。
亡き父の外来は自由診療で、「永遠の元気」の媚薬とも言えるテストステロンの補充に、会社経営者の方たちが訪れていました。私はまだ駆け出しの医療ライターだった頃から、その患者さんの話をうかがう機会が多くありました。
とても70代、80代には見えないジェントルマンの皆さんは、「やる気ゼロになって引退を考えていたけれど、お父様にテストステロン補充してもらって、すっかり元気になって海外に拠点を拡大したんです」「おかげさまで仕事のやる気と女性への関心がよみがえりましたよ。はっはっは~!」と笑顔炸裂。「この人たち、時間が止まっている」と驚きつつ、「テストステロン補充の福音を受け続けるのも(金銭的に)安くなさそう…」とも、ぶっちゃけ思っていました。
自由診療の場合は、クリニックの立地などによって金額は異なり、1回1万円程度から2万~3万円。その費用対効果を適正価格と判断するかどうかは、自分次第です。特に日本では自由診療に対して、ネガティブなイメージがあります。病気ではない「プラスの医療」、たとえば美容整形手術やレーシック、インプラントなども同様に保険外です。
「食事や飲み会で1回5000~1万円として、その数回のお金を自分の健康のために使うと考えたらどうでしょうか? 多少費用がかかっても元気なうちからテストステロンをチャージするほうが、寝たきりになって医療費をつぎ込むよりよっぽどコスパがいい!」
父はこう主張していました。そして、「長生きしたいわけじゃない。死ぬまで元気でいたい、周りに迷惑をかけたくない」と、70歳から生涯テストステロン補充を継続し、亡くなる2週間前まで現役医師として働き、92歳でまぶたを閉じたのです。
☆くまもと・みか 医療ライター。男性医学の父・熊本悦明の二女。男女更年期、性感染症の予防と啓発、性の健康についての記事を主に執筆。2019年に山手線内で心肺停止で倒れた経験から、救命救急、高次機能障害、リハビリについても情報発信している。著書に「山手線で心肺停止!アラフィフ医療ライターが伝える予兆から社会復帰までのすべて」。












