名横綱へ大きく前進だ。大相撲夏場所千秋楽(28日、東京・両国国技館)、横綱照ノ富士(31=伊勢ヶ浜)が大関貴景勝(26=常盤山)を押し出して快勝。14勝目(1敗)を挙げて6場所ぶり8度目の優勝に花を添えた。昨年10月に両ヒザを手術し、3場所連続の全休明けから完全復活。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(39=本紙評論家)は「照ノ富士時代」の継続と「優勝10回以上」に太鼓判を押した。

 1年ぶりに賜杯を抱いた照ノ富士は「本当に優勝したんだなと。やっぱり優勝するのは、本当に難しいことなので。手術してから、やっと復帰できて本当にうれしいです」と感慨もひとしお。「出る限りは、優勝を争うのが横綱の宿命なので。それを果たせたのは、うれしい」と番付最高位としての自覚を口にした。

 昨年10月に両ヒザの手術を受け、今場所は3場所連続の全休明け。体調や相撲勘の部分で不安説もあった中で、終わってみれば他の力士を全く寄せつけない圧勝劇に終わった。

 秀ノ山親方は、まず今場所の横綱の精神面に着目。「土俵上で穏やかな顔をしていて、腹をくくって土俵に上がっている印象だった。そういう落ち着きは、本当に自信を持っていないと出ない。(復帰へ向けて)やり残したことがないという覚悟が表れていた」と指摘した。

 相撲内容も充実していた。同親方は「本当に慌てないし、どっしりとした相撲。腰が割れていて、押されて負けることがほぼなかった。後ろに下がっても、ヒザが曲がっているので横綱の懐の深さが生きてくるんですよ。中に入られても小手に振ったり抱え込んだりして相手の動きを止められるのは、ヒザが曲がって前傾姿勢だからこそできる。少々のことでは崩れない安定感があった」と分析した。

 この日、関脇霧馬山(27=陸奥)が新大関に昇進することが事実上、決定した。貴景勝とともに2大関体制となっても、照ノ富士の〝1強〟は揺るぎそうにない。秀ノ山親方は「大関よりも番付で〝1枚半〟は上にいる感じ。優勝10回は全然いけると思う。あと2回と言わず、もっともっと積み重ねていきそうな気がしますね」と太鼓判を押した。

 優勝10回と言えば「土俵の鬼」と呼ばれた初代若乃花も達成した〝名横綱の証し〟だ。その大台に到達できれば「相撲の神様」として知られる、〝角聖〟双葉山の優勝12回も現実的な目標として視野に入ってくる。

 照ノ富士は「2桁優勝(10回)というのは自分の目標。とりあえずは次の場所に向けてもう一回、体と向き合って頑張っていきたい」と早くも名古屋場所(7月9日初日、愛知県体育館)へ向けて意欲を示した。

 今回の復活優勝を足掛かりに、名横綱への道を着々と歩んでいくことになりそうだ。