〝トランプ杯〟の奪回なるか。大相撲夏場所3日目(16日、東京・両国国技館)、元大関の幕内朝乃山(29=高砂)が幕内琴恵光(31=佐渡ヶ嶽)を寄り切って無傷の3連勝。ただ、本人が負けを覚悟する相撲内容で今後に不安を残した。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(39=本紙評論家)は朝乃山の課題を指摘するとともに、4年ぶりの夏場所制覇へ期待を寄せた。

 朝乃山が辛勝で〝命拾い〟した。左上手を取れないまま右四つで寄った土俵際、琴恵光に突き落とされた。物言いがつき、先に相手の体が飛んでいたと判定。軍配差し違えで白星を挙げた。審判の協議を待つ間は「負けかと思った」。無傷の3連勝にも「上手を取れないまま右を差して出ていく悪い癖が出た。全然ダメ。(自分の)勉強不足。アホですね」と猛省した。

 不祥事による出場停止を経て、今場所は1年半ぶりに幕内へ復帰。優勝候補の一角としても名前が挙がる中、この日の相撲内容は今後へ向けて不安を残す格好となった。秀ノ山親方は「同じ右四つの琴恵光に対して、左上手が取れずに慌てて胸を合わせにいった。相手が小兵でも土俵際の詰めが甘くなると、突き落としを食う」と分析する。

トランプ氏(手前右)に大統領杯を渡される朝乃山(2019年)
トランプ氏(手前右)に大統領杯を渡される朝乃山(2019年)

 その上で「もっと余裕を持って懐深く上手が取れたら、相手は動けない。大関に上がっていく時には、それができていた。ここから大関に戻る目標があるだろうし、誰よりも多くの声援を受けて期待の大きさも感じていると思う。結果を出さなければいけない気持ちから、焦りがあるようにも見える。攻め急がず、どっしり構えていけばいい」とアドバイスした。

 かねて秀ノ山親方は、朝乃山の実力を高く評価してきた一人。それだけに「しっかりとした四つ相撲で、地力もある。優勝のチャンスはあるし、勝ち星を挙げていって横綱や大関と当たれば盛り上がるはず。それまでは取りこぼしせず、しっかりついていってほしい」と後輩大関へ向けて改めてエールを送った。

 朝乃山にとって、夏場所は特別な場所でもある。2019年には初優勝を達成。ドナルド・トランプ米大統領(当時)から新設された「アメリカ合衆国大統領杯」を手渡されて、一躍時の人となった。その〝トランプ杯〟の初代受賞者でもある朝乃山は「出場するからには優勝」ときっぱり。大関の地位に返り咲くためにも、V奪回で完全復活を印象づけたいところだ。