完全復活なるか。大相撲夏場所初日(14日、東京・両国国技館)、横綱照ノ富士(31=伊勢ヶ浜)が小結正代(31=時津風)をすくい投げで退けて白星発進した。昨年10月に両ヒザ手術を受け、3場所連続で全休。長期休場明けで体調面や相撲勘が不安視された中、元大関琴奨菊の秀ノ山親方(39=本紙評論家)は「優勝争いの中心になる」と太鼓判を押した。

 照ノ富士が初日白星で復活への第一歩を踏み出した。正代に押し込まれながらも、土俵際のすくい投げで逆転勝ち。昨年秋場所以来、約8か月ぶりとなる本場所の土俵に「久しぶりという感じですかね。やっと土俵に立てた。一日でも早く土俵に戻りたいと思ってやってきた。(ファンの)歓声を聞けてうれしい」と感慨深げな表情を浮かべた。

 照ノ富士は昨年10月に両ヒザを手術し、その後は3場所連続で全休。体調面や相撲勘が不安視された中、秀ノ山親方の目に初日の相撲はどう映ったのか。「立ち合いの踏み込みは悪くない。その後で押される場面もあったけど、腰の重さがあるから相手の圧力が上方向に逃げていた。土俵際も慌てていなかったし、本人としては危なくなかったと思う。体も万全に近い状態で出てきているのでは」と分析した。

 その上で「よく出稽古をしていたし、いい感覚が体の中にあると思う。あとは微調整。特に序盤で当たる、距離を置いてくる突き押し相撲の力士にどう対応するか。そこさえ乗り切れれば、本来の力を発揮して優勝争いの中心になると思う。(大関とりに挑む霧馬山ら)上を目指す力士にとっても、分厚い壁として君臨するはず」と太鼓判を押した。

 また、秀ノ山親方は照ノ富士の表情から復活にかける強い〝覚悟〟を感じ取ったという。「誰よりも苦労して、誰よりもどん底を知っている。横綱になってからもケガと闘いながら、ずっと自分と向き合い続けてきた。しっかりと腹をくくって、集中して土俵に上がっているように見えた」。照ノ富士は大関から序二段転落を経て、番付の頂点を極めた。その精神力は健在。気力の部分でも、不安はなさそうだ。

 その横綱は、6場所ぶり8度目の賜杯へ向けて「優勝を狙っていく? もちろん、はい。(調子を)徐々に上げていけたら。やれることを精いっぱいやって、頑張りたい」ときっぱり。土俵に帰ってきた「主役」の一番一番から目が離せない。