Jリーグは世界へ羽ばたけるのか。1993年5月15日のJリーグ開幕戦で対戦したV川崎(現東京V)の元日本代表FW武田修宏氏(56=本紙評論家)と、横浜Mの同DF井原正巳氏(55=柏コーチ)の30周年スペシャル対談の後編。武田氏はビッグクラブでプレーする日本代表DF冨安健洋(24=アーセナル)を育成した井原氏の手腕に注目し、さらなる選手育成を期待した。
井原 30年前のJリーグ開幕戦は直前まで日本代表の米国W杯アジア予選があったんで、楽しみと慌ただしさだったかな。タケは嫌いな選手だったけど、ゴールの嗅覚だったり、技術はすごかったし、使われるのもうまい選手だったよね。
武田 お、良いことも言ってくれんじゃん。正巳も身体能力の高いクレバーな選手だったよ。それでさ、プロの責任ってどうだった? 重圧があったから成長した部分もあると思うけど。
井原 当初はよくわからなかったかな。ファンが来てくれなければ給料をもらえないわけで「プロとはなんぞや」と思いながらやっていた。だから先輩とか外国人選手の背中を見ながら学んでいった感じかな。
武田 そう言えば正巳は福岡の監督時代(2015~18年)に冨安を指導していたでしょ。海外で活躍できる選手を育成するってどうなの?
井原 今はいろんなルートがあって欧州や南米、東南アジアでプロになるチャンスがあるわけだけど、冨安のようにJリーグを経験した選手の方が海外で成功する例は多いんじゃない?
武田 DF出身の正巳から見て、冨安は最初からモノが違った?
井原(冨安は)中盤もやっていたしCBもできるところでスケール、将来性、伸びしろがあって可能性があったね。
武田 あのころ、よく福岡の試合を見ていたけど、正巳はよく冨安を使い続けたなって。
井原 最初は中盤で使って。まあ、パーソナリティーというか、人間性も大事な要素かな。
武田 オレは、正巳が育てた選手だと思って見ているから。
井原 オレは何もしてないよ。海外に行く選手は自分の考え方や目標をしっかり描いていて、そのために何が必要かわかっていて、キチンと実践できるからでしょう。
武田 柏コーチとしてDF酒井宏樹(浦和)や鈴木大輔(千葉)ら海外移籍した選手にもかかわった。コツは?
井原 たまたまそういう選手がいただけ。さっきも言ったけどパーソナリティーとか向上心、目標設定が高いとかね。ただフィジカル的なポテンシャルが高くないと、海外で成功する確率は下がるのかな。
武田 でも、30年前にはこんなに多くの選手が海外でプレーするとは思わなかったよ。正巳も自分がかかわった選手が海外や代表で活躍しているのは指導者としてうれしいんじゃないの?
井原 それは励みになるし、注目して見ていたい。センターラインで活躍する選手が出てこないと日本代表はW杯でいい成績を残せないと昔から言われてきた。冨安だけではなく(吉田)麻也(シャルケ)が活躍しているし、それにFWも。古橋(亨梧=セルティック)とか上田綺世(セルクル・ブリュージュ)とか出てきたから。
武田 日本で経験を積んで海外進出する選手が増えたのもJリーグがレベルアップしている証拠かな。ところで正巳は20年後は何をしていると思う? 今はコーチだけど、チェアマンになってほしいな。
井原 いやいや。サッカーで飯が食えるとは思っていなかったから、もっとJリーグに還元、貢献していきたい。プロがない時代を知っている俺たちが伝えていくのは使命じゃないかな。
武田 オレは20年後、おじいちゃん。地元に帰って自分でチケット買ってJリーグ見ているかな。そのときに、もっとサッカー界が発展していることを期待したいね。












