【山口敏太郎オカルト評論家のUMA図鑑#515】4月21日、ツイッターで奇妙な生物の姿を捉えた動画が注目を集めた。問題の動画は海外で撮影されたものらしく、路肩に屋台が並び、狭い道を車が行き交う様子がとらえられている。撮影者も車に乗っていたようだが、前方の道路の上まで伸びてきている太い枝に奇妙な生物が停まっているのに気がついた。車が枝に近づいたのでズームしてみると、枝には大きなコウモリではなく、コウモリのような翼を持った奇妙な生物が止まっていたのだ。
その生物は細い手足に長い首、小さな頭を持っている。どうも手足は合計で6本あるようにも見えるが、逆光のため顔や体の細部は分からない。その生物は首を伸ばして周囲を見渡した後、少し横に移動すると翼を広げて飛び去ってしまった。
果たしてその生物が何だったのか。そして、どこへ行ってしまったのか。撮影者の車もちょうど謎の生物が飛び立ったタイミングですれ違ったため、それ以上は追えなかったようだ。
この生物の動画がネットで注目されると、さまざまな説が飛び交った。日本のツイッターでは発端のツイートで「フィリピンでよく目撃される」と紹介されたこともあり、海外の妖怪に詳しい人たちから「マナナンガル」や「アスワング」といったフィリピンに出現するUMAの名前が挙がっていた。
ちなみにマナナンガルはフィリピンに伝わる魔女で、夜になると背中にコウモリの羽が生え、上半身だけで飛び回るとされている。アスワングはお産で亡くなった女性が吸血鬼としてよみがえったものとされている。いずれも「猿のような上半身とコウモリの翼を持つ怪物」とされることが多く、近年でもフィリピンで巨大なコウモリのような生物の目撃証言が報告されていたことから、UMAとみなされがちだ。実際、今年2月にもフィリピンで2人の少女が「マナナンガルを目撃した」と報告したことから、警察が出動する事態になっている。
では今回、動画に捉えられた怪物もこれらの妖怪だったのだろうか? 実は、この動画と全く同じ動画が2021年2月15日にTikTokに登場していた。投稿したのは海外の奇妙な映像を紹介しているユーザーで、動画のキャプションには妖怪の名前こそ書いていなかったものの「お産で死んだ女が魔女になったもの」との単語がハッシュタグと共に付けられていた。
この時はベネズエラで撮影された動画、とされていたのだが、コメント欄には「2019年に既に出回っており、ベネズエラではなくニカラグアのマナグア通りで撮影されたものだ」という指摘が多数寄せられていた。どうやら海外では数年前に既に話題になっていたもののようだ。
気になるのは「魔女」というキーワードだが、中南米では若くして亡くなった女性は幽霊や妖怪になると言われている。中でも動物に化け、人間を襲うタイプの女性の妖怪は「魔女」とされるようだ。例えば、日本でも注目を集めた「フライング・ヒューマノイド」は本来は中南米で目撃されていたUMAなのだが、フライング・ヒューマノイドも当初は「伝説に出てくる、変身して空を飛び、人を襲う魔女」だと現地で騒がれていたものだ。
では、今回の動画は本当にニカラグアで撮影された、中南米の伝説に出てくる魔女をとらえたものかというと…怪物がいる枝の下には車が行き交い、人の姿が確認できるにもかかわらず、撮影者以外は誰一人気づいている様子がない。あまりにも不自然なことから、どうもCGで怪物を合成したフェイク映像と見るのがよさそうだ。












