【第3回 モーニン、モーニング、君の朝立ち♪】
前回の男性更年期障害のチェックリストや、「朝起きられない」「疲れが取れない」「仕事に行きたくない」の3つを頻繁に口にするようになったら要注意!と紹介すると、「いや、みんなそうでしょ?」とツッコミを受けます。まどろっこしい話は抜きにして、あなたのその不調が男性更年期か否か、テストステロンの低下をキャッチする一番わかりやすいサインは、「朝立ち」の有無。ニヤニヤした方もいらっしゃるかもしれませんが、これはエロチックな勃起とは無関係な「男の生理」。テストステロン低下の影響が鋭敏に表れます。もし「そういえば、最近ないかも」と思ったら、甘く見ていると命を縮める危険性があります。
女性の生理である月経はよく知られています。ストレスや加齢でホルモンバランスが乱れると、心身共にさまざまなトラブルを起こします。男の朝立ちもしかりで、男性ホルモンレベルと密接に関係しているのです。
朝立ちの仕組みを医学的に簡単に説明しましょう。我々の睡眠は「レム睡眠」(浅い眠り)と、「ノンレム睡眠」(深い眠り)を、およそ90分ごとに繰り返しています。レム睡眠のときに、身体機能を調節するために副交感神経が働いて内臓などを動かしていて、腸の親戚であるペニスも反応し、勃起しています。目覚めのときに自覚する勃起が「朝立ち」です。
その勃起時間を合計すると、20代の健康な男性では、睡眠中のほぼ半分。50代で約3分の1、60代でも約5分の1の時間は勃起をしています。しかし、男性ホルモンが減少すると、睡眠のリズムが崩れ、男の生理である朝立ちがなくなってきます。それを放置しておけば、女性と同じような更年期症状が襲ってくることになるのです。男性ホルモンが減る原因は年のせいだけでなくストレスも大いに関係していますので、健康を維持するために、まずはご自身の生活習慣を見直してみることです。
さらに朝立ちの喪失は、「血管が硬くなりはじめていますよ」という見逃せないサインでもあります。というのも勃起は、陰茎の血管が拡張して、血液が流れ込むことによって起こります。つまり血管が軟らかく、よく収縮する状態でなければなりません。早朝勃起がないと、血管が硬くなり、血液が流れ込みにくくなっている恐れがあるというわけです。
陰茎の血管は、およそ1~2ミリと、体内でもっとも細いです。心臓の血管は3~4ミリ、頸動脈は5~7ミリですから、いかに細いかということがわかるでしょう。動脈硬化は、細い血管から順番に始まります。つまり、動脈硬化の兆しを、早朝勃起の有無が教えてくれるのです。
どんな病気でも、手遅れにならないうちに、早めに手を打つことが大切です。「人は血管とともに老化する」ともいわれますが、そのスタートがもっとも細い陰茎の血管であることを、知っておいてください。
☆くまもと・みか 医療ライター。男性医学の父・熊本悦明の二女。男女更年期、性感染症の予防と啓発、性の健康についての記事を主に執筆。2019年に山手線内で心肺停止で倒れた経験から、救命救急、高次機能障害、リハビリについても情報発信している。著書に「山手線で心肺停止!アラフィフ医療ライターが伝える予兆から社会復帰までのすべて」。












