2022年に全国の高齢者宅などにかかってきた特殊詐欺の電話や資産・在宅状況を聞き出す「アポ電」で、番号が判明したのは1万9843件だったことが13日、警察庁のまとめで分かった。特に最近目立っているのが、発信元を隠すため「050」で始まるIP電話回線や転送サービスの悪用だ。特殊詐欺の逮捕者が東南アジアで相次いでいるのも、それが背景にあるという。

 1万9843件のうち固定電話は8418件(42・4%)、パソコンやスマートフォンにアプリを入れて使うIP電話は7281件(36・7%)、携帯電話は4144件(20・9%)だった。

 IP電話や、ショートメッセージサービス(SMS)とデータ通信が利用できるデータSIMは、契約時に運転免許証などによる本人確認の義務がない。詐欺グループは、データSIMカードを入れたスマホで「テレグラム」といった匿名性の高い通信用アプリを使っており、割り出しが困難となっている。

 IP電話は基本料や通話料が安く、電話加入権が必要ないので初期費用が安いというメリットだらけのはず。これが特殊詐欺グループに悪用されているというわけだ。

 最近、カンボジアで特殊詐欺を行っていた疑いの男19人や、フィリピンの「ルフィ」グループが逮捕されたが、そこには東南アジアのIP電話事情という背景がある。

 元暴力団関係者は「今後はタイ、ラオス、ミャンマー、ベトナム、インドネシアでも日本人特殊詐欺グループが摘発されるかもしれません。アジア諸国では、IP電話は安く、IDなどなくても簡単にスマホが買え、現地のコンビニで売ってるSIMカードを差せば通話できる。それに生活コストが安く、日本と時差があまりありません。そこで、中国や日本の企業が約15年前からコールセンターを作り続け、環境整備されていたんです。タイやカンボジアのネット環境は抜群で、回線は安定し、通信関連機器も豊富に手に入ります。そこに目をつけ、特殊詐欺グループが東南アジアに拠点を作るようになりました」と語る。

 カンボジアで摘発されたグループは日本の不特定多数に「未納料金があります」として、050から始まる電話番号が記されたショートメッセージ(SMS)を送り、折り返し電話が来た相手を特殊詐欺でだました手口も利用していた。SMSを不特定多数に送り、IP電話やテレグラムで何度もやりとりするという方法はカンボジアからでも安く行えるわけだ。

「発信者番号を偽装できるIP電話では、電話番号を偽装表示させることができるため、特殊詐欺の手段に用いられやすいでしょう」(同)

 心当たりのない電話番号には折り返さないのが鉄則だ。