大器覚醒か。大相撲春場所12日目(23日、大阪府立体育会館)、小結琴ノ若(25=佐渡ヶ嶽)が幕内明生(27=立浪)を寄り切って9勝目(3敗)。優勝争いのトップと1差に接近し、大関取りの起点となる2桁10勝に王手を掛けた。その〝現在地〟を、兄弟子で元大関琴奨菊の秀ノ山親方(39=本紙評論家)がズバリ診断した。
琴ノ若が明生を力強く寄り切って快勝。取組後は「いい相撲を取って、食らいついていけたら。一日一番集中して出し切れれば、結果もついてくる」と表情を引き締めた。この日の取組について、秀ノ山親方は「馬力がある明生に対してしっかり出足を止めて、左四つからもろ差し。腰の重さが相手にも十分に伝わっていた。本人の強みが出た一番」と合格点を与えた。
189センチ、172キロと恵まれた体格の持ち主。柔らかい体は相手にとって攻めづらく、前さばきのうまさもある。そして何より、勝負の世界では不可欠の要素を備えている。同親方は「昨日(11日目の北勝富士戦)は負けて宿舎に帰ってから、一人で四股を踏んでましたからね。相当、悔しかったんだと思う。人一倍、負けん気が強い。気持ちの強さが相撲内容につながっている」と指摘した。
琴ノ若は10日目に4場所連続の勝ち越しを決め、この日は大関取りの起点となる10勝目に王手。賜杯争いでもトップと1差に接近し、逆転Vの可能性を残す。秀ノ山親方は、琴ノ若が今場所を含めて近いうちに初優勝を達成すると予測。さらに、現在7人いる三役(関脇3人、小結4人)の中で、琴ノ若が大関に抜け出すこともあり得るとみている。
「負けた相撲でも、しっかりと前に出て内容では勝っている相撲が多い。その意味では、今の三役の中で誰よりも安定感があると感じる。琴ノ若には今年に入ってから常々『優勝あるぞ』『おまえは強いから。優勝を目指していけよ』と言ってるんですよ。本人も手応えをつかんでいる部分があるのでは。大いに期待できると思います」
今場所は、横綱大関不在の異常事態となる中、琴ノ若は土俵の新たな主役となれるのか。今後の戦いから目が離せない。









