サッカー日本代表MF久保建英(21=レアル・ソシエダード)の新たな道とは――。チーム最年少メンバーとして臨んだ昨年のカタールW杯で決勝トーナメント進出に講演したものの、自身は十分なパフォーマンスを発揮できないまま戦いを終えた。J1FC東京の下部組織で久保を指導していた元日本代表DFの中村忠氏(51=現東京Vアカデミーヘッドオブコーチング)は〝日本の至宝〟が今後、目指すべき理想の選手像について言及した。

 21歳で初のW杯。今季加入したRソシエダードでも好パフォーマンスを発揮し、大会に突入した。1次リーグで金星を挙げた強豪ドイツとスペイン戦で先発出場し、2大会連続の決勝トーナメント進出に貢献。ただ決勝トーナメント1回戦クロアチア戦では熱発し、ベンチ外と本来のパフォーマンスは示せなかった。

 J1FC東京の下部組織時代にサポートしていた中村氏は2016年に15歳の現役中学生だった久保をFC東京U―22に〝飛び級〟させてJリーグ(J3)デビューさせた。その後のトップチームデビュー、A代表初招集、スペイン移籍など〝日本の至宝〟の成長を見守ってきた。初のW杯を終えた久保の〝将来〟をどう見ているのか。

「建英の場合(下部組織時代に)点を取れるのが一番の魅力だった。おとりにもなれてパサーもできる。トップの仕事もできて、何でもうまい」と〝万能プレーヤー〟であることを強調しながらも「技術力も高くてうまいんだけど、ものすごいスピードがあるとかフィジカルがめちゃくちゃ強いとか。そういう特筆するようなものが彼にはない」と指摘。その上で世界最高峰の舞台で戦いを終えた現段階で「今後をどうしていくべきか。そこが見えてくると思う」と語っていた。

 そんな中村氏は、久保が理想として目指すべき選手として元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ(神戸)の名前を挙げる。「建英が〝誰かになる〟とするならばイニエスタのタイプかな。体も大きくないし、イニエスタも似たような感じでしょ。それでも世界のトップ選手になったわけだし、ちょっと引いた位置からパスで崩したり、前に出て行ってゴールするとか」と説明する。

〝魔法使い〟との異名を持つイニエスタは、久保が長く下部組織に所属していたスペイン1部バルセロナ出身。同じ哲学を学ぶとともに、少年時代からプレーを見る機会も多かったとみられており、手本にするには最適な人材と言えるはずだ。

 さらに中村氏は、元ブラジル代表MFでキャプテンを務め、J1磐田でもプレーしていた「闘将」と呼ばれたドゥンガ氏のプレースタイルも参考になるという。「ドゥンガもそうでしょ。彼も足が速いわけではないけど、セレソンの主将にもなった。強いメンタリティーと判断力、リーダーシップであそこまでの選手になった」という。

 その上で恩師は「建英もメインは技術と判断力なので。努力すれば彼らのような高いレベルになれる」と断言。今後の成長次第ながらも、誰もが認める世界トップになれる可能性を秘めているわけだ。中村氏は「さらなる高みを目指してほしい」と、W杯を通じて得た経験を生かすことを切望。今後は2024年パリ五輪を経て26年W杯を目指していくが、さらなる成長を期待していた。

 ☆なかむら・ただし 1971年6月10日生まれ。東京都出身。84年に読売クラブ(現東京V)ユース入りし、91年にトップ登録。チームの黄金期を支えた。95年にA代表に初招集され、国際Aマッチ16試合に出場。引退後は指導者に転身し、FC東京の下部組織で監督やコーチを務めた。今季から東京Vアカデミーヘッドオブコーチングに就任。174センチ、68キロ。