大相撲初場所(来年1月8日初日、東京・両国国技館)で元大関の朝乃山(28=高砂)が十両復帰を果たす。自らの不祥事で6場所出場停止処分を科され、三段目まで番付を落とした。連載「朝乃山、再起への道」ではどん底を味わった元大関が関取に返り咲くまでの道のりを振り返る。

【朝乃山、再起への道(1)】角界に激震が走ったのは2021年5月の夏場所11日目だった。「文春オンライン」が、朝乃山が夏場所前の外出禁止期間中にキャバクラ店に通うなど、日本相撲協会が定めるガイドラインに複数回違反していたと報道。これを受けて、当時の尾車コンプライアンス部長(元大関琴風)が事情聴取したところ、朝乃山は「事実無根です」と回答した。

 この時点で協会側はコンプライアンス委員会の調査や、休場の措置は考えていないと強調していたが、再聴取で報道内容の一部を認め、状況が一変。翌12日目には休場を届け出た。

〝横綱候補〟と期待されていた看板力士の不祥事は大きな波紋を広げた。千秋楽の協会あいさつで八角理事長(元横綱北勝海)が「違反行為により大関が休場したことは大変遺憾」と異例の言及。芝田山広報部長(元横綱大乃国)も「コロナ禍の大変な時に、大事な本場所(の取組)に大きな穴を空けたということは重大な責任」と突き放し、横綱審議委員会からは「失望した」とため息が漏れた。

 場所後に開かれた理事会で「6場所出場停止、6か月の報酬減額50%」の処分が下されることが決定。朝乃山は引退届を提出していたが、八角理事長の預かりとし、再び協会に迷惑をかけた場合は程度の軽重にかかわらず受理されることとなった。

 20年7月にキャバクラ通いが発覚した幕内阿炎(錣山)は3場所出場停止などの処分だったことから、一部で「重すぎるのでは」といった意見も出ていた。一方で尾車部長は「ウソをついたほうが大きい。素直に認めていれば、ここまでのことはなかった」と厳罰の理由を説明。ここから元大関は自ら犯した過ちと向き合う日々を送ることになる。