地球温暖化の影響で、ロシアの永久凍土から4万8000年前の〝ゾンビウイルス〟が発見された。このニュースが流れると、ネットでは「人間がゾンビになるウイルスが発見された」と間違った情報として広がった。英紙デイリー・スターが12日、報じた。

 フランス、ロシア、ドイツの研究者からなるヨーロッパの科学者たちは2015年、シベリアの永久凍土に埋もれていた4万8000年前の複数のウイルスを発見した。そのウイルスの分析結果を11月、オンライン研究サイト「bioRxiv」で「パンドラウイルス」を発見したと発表した。ウイルスたちは永久凍土の中で活動停止していたが、温まると活動再開した。研究者たちにとっては、地球温暖化はパンドラの箱を開けるようなものというわけだ。

 これを世界中の複数のサイトが12月始めごろから、約5万年前の氷の中でも生きていたということで、〝ゾンビみたいなウイルス〟だとして、「ロシアでゾンビウイルスが発見された」などのタイトルで報じた。

 このニュースがSNSでじわじわと〝パンデミック〟を起こしている。タイトルだけ見て内容を読んでいない人々がSNSで「感染したらゾンビになるの?」「プーチンがゾンビウイルスという兵器を開発したのか?」などと現在、パニックになっている。

 今回発見されたウイルス自体はアメーバに感染する程度らしく、人間には影響はないようだ。しかし、永久凍土が溶け続ければ、今後は人間に有害なウイルスが発見されるかもしれない。

 デイリー・スター紙によると、専門家は「死んだ人を生き返らせるウイルスは実際にはありません。しかも、誰も脳を食べるように人間の行動を変えるウイルスはないでしょう」と指摘している。