【取材の裏側 現場ノート】カタールW杯でドイツ、スペインを撃破して1次リーグE組首位通過を果たした森保ジャパンのMF伊東純也(29=スタッド・ランス)は、次世代のサッカー界のモデルケースになる可能性を秘めている。
日本サッカー界の定説として、一刻も早いプロ入りがベストだとされてきた中、伊東がJ2甲府でプロになったのは神奈川大卒業後。J1柏を経てベルギー1部ゲンクに加入したのは、25歳の時だった。決して順調なキャリアを積んできたワケではない。それでも神奈川・逗葉高時代の伊東をスカウトした神奈川大の大森酉三郎監督(当時総監督)が「彼は自分を生かしてもらえそうな進路を選ぶ天才。素直でピュアだから、もしかしたら鼻が利くのかもしれない」とし、自らに合う環境を取捨選択し、成長につなげてきたという。
MF久保建英(レアル・ソシエダード)やMF堂安律(フライブルク)のように、若いころから輝かしい実績を残してきたとは言い難い。ただ、伊東は一歩ずつ階段を駆け上がった。森保ジャパンではエース格として、W杯アジア最終予選で歴代最多タイの4戦連続ゴールをマーク。遅咲きのストライカーだが、大森監督は今後のサッカー界を変える存在になると太鼓判を押す。
「30歳間際で日本のエースになって、これから『人生100年時代』になる中で、この年齢くらいから色を出して行く感じでもいいのかなというふうに思っている」と切り出した上で「指導者が形にハメるとかじゃなくて、30歳になった時にどんな形で自分を表現できるか。『人生100年時代』だとそれぐらいのスケールで考えないといけない」と痛感。個性を尊重して、長い目で個々を見守る必要性を学んだという。
サッカーに限らず、スポーツ界では天才と称された子供たちが、知らぬ間に消えていくケースがよくある。果たしてそれは子供たちにとって幸せなことなのか。伊東の存在が世の中に一石を投じる日は、そう遠くないだろう。(五輪担当・中西崇太)












