サッカーW杯の盛り上がりの影響で新型コロナウイルスの感染対策も見直されることになるのか――。W杯が開催されているカタールの首都ドーハでは街中やスタジアムでマスクを着けている人はほぼゼロ。欧米でも同様だが、日本はいまだ“マスク社会”で、コロナ対策を含めた見直し世論が高まりつつある。

 初戦で日本代表がドイツから大金星を挙げ、日本では関心が低かったW杯も一転、大盛り上がり。27日のコスタリカ戦も敗れはしたものの、列島は熱気に包まれた。同時に日本に突き付けられたのが世界の現実だ。

 カタールでは街中やスタジアムでマスクを着用しているサポーターはほとんどいない。取材に訪れている報道陣にもコロナ対策でマスク着用やワクチン接種の要請がされているわけではなく、PCR検査等で陽性が確認された場合に6日間の自主隔離が求められているだけだ。

 これはカタールに限ったことではなく、欧米をはじめとした“世界の常識”だが、現地の映像や情報を通して、改めて日本において屋内でのマスク原則着用など厳格な感染対策がとられていることに違和感を覚えている人が続出。「マスクいつまで?」「マスクを外そう」などとネットを中心に声が大きくなっている。

 日本ではコロナ第8波が到来しているとの警鐘が盛んに鳴らされているが、国会内では日本維新の会の猪瀬直樹参院議員が「(マスクは)顔パンツではないか?」と口火を切る形で脱マスクを訴える声が出始めた。

 カタールの隣国・アラブ首長国連邦(UAE)のドバイに滞在するガーシー参院議員も財務省の補正予算レクで、日本が世界的に最もコロナ対策で予算を計上していることに「まだコロナにこんなお金をかけるのか」とあきれ、財務省側は「国民性もある。政府は必要と考えている」と説明するしかなかった。

 もっとも政府は感染症法上の位置づけ見直しを求める声を意識してか、季節性インフルエンザと同様の措置となる5類への引き下げに向けて動いている。加藤勝信厚労相は27日に出演したフジテレビの番組で年内にも見直しに向けた作業に着手する方針を示した。

 マスク着用やワクチン接種への疑義もこれまでなら“反ワクチン”“反マスク派”などとひとまとめにされていたが、その風潮も徐々にではあるが変化している。W杯をきっかけに“世界の常識”を見せつけられ、世論の声が高まれば、旧態依然とした感染対策にもようやくメスが入るかもしれない。