大相撲の横綱照ノ富士(30=伊勢ヶ浜)が〝復活ロード〟を歩み始めている。先月18日に古傷の両ヒザにメスを入れ、九州場所(13日初日、福岡国際センター)は休場の見通し。当初の予想を上回るペースで回復しているが、万全の状態で土俵に立つために焦らず調整していく構えだ。担当医で船橋整形外科クリニックの高橋憲正氏ら関係者が明かす横綱の現状とは――。
照ノ富士は一人横綱として土俵に立ち続ける中で、両ヒザが限界に達していた。9月の秋場所は古傷を悪化させて途中休場。担当医らと話し合ってメスを入れることを決断した。高橋氏は「横綱本人はこれでは〝横綱の相撲〟が取れないと感じていた。手術しない選択肢もあったが、それでは劇的な回復が見込めないということで今回は手術に至った」と説明した。
主な不調の原因は右ヒザの皿が外側に引っ張られる状態になっていたことや、両方の皿と脛骨(けいこつ)にできた骨棘(こつきょく)が可動域を狭めていたことだった。左の骨棘は特に深刻で、高橋氏が「私が知っている範囲では、今まで見たことないぐらいの大きさだった」と驚いたほど。メスを入れたことで、九州場所の出場は絶望的な状況となった。
一方で、患部の回復は順調のようだ。手術から6日後の先月24日にはリハビリを開始しており、この時点で松葉づえを使わず歩けるようになっていたという。高橋氏は「退院時は松葉づえだったが、スムーズに歩いていて回復の早さに驚いた」と振り返る。また、同26日には予定よりも2日早く抜糸。伊勢ヶ浜部屋専属トレーナーの篠原毅郁氏は「経過は良好で、まだ(患部に)腫れがあるものの、痛み自体は軽減されたようです」と明かした。
ここまでは周囲の予想を上回るペースで復帰に向かっているようにも見える。ただ、今回の手術を含めた治療目的は万全の状態で土俵に上がること。篠原氏は「これから寒くなる季節ですから、必ず回復のスピードが落ちる時期があると思います。復帰に向けて今が一番大切な時期なので、焦らず着実に回復させていきます」と慎重な姿勢。高橋氏も「やはり横綱は責任感が強いので追い込みすぎてしまうのがちょっと心配。そこは腫れなどを見ながら、ブレーキをかけるべきところはかけたい」と細心の注意を払っている。
横綱自身も、あくまで完全復活を目指している。高橋氏は「術後は、さらに強くなって戻るイメージが持てたようだ」と証言。今後は上半身に負荷をかけるトレーニングや、週2回程度のリハビリやマッサージで自らの体と向き合っていく。復帰時期は現時点で未定だが、焦らず復帰への道のりを歩むつもりだ。











