オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第107回は「煙管(きせる)坊」だ。

 妖怪「煙管坊」は山にすんでいるタバコ好きの妖怪である。タバコを好む妖怪とは珍しい存在である。たいていの妖怪はタバコが嫌いだからである。なぜなら、タバコの煙には暴力を無効にする力があるからだ。

 タヌキやキツネに化かされた時、腰を据えてタバコを吸うといいと言われる。タバコの煙は狐狸が化かす技術を無力化するのだ。山によっては、山の魔物のいたずらを防ぐために、吸わない人でもタバコを持参しなければならないとされている。

 煙管坊の正体はキツネではないかと言われている。つまり、キツネが化けているというわけだ。姿の表し方は、夜中に坊主頭で作業着姿で現れ、人間にタバコをねだるという。タバコを分けてやると、その箱の残りのタバコもいつの間にかに消えている。もしあげなくても、持っていたタバコを全て奪われる。つまり、タバコをやってもやらなくても全部取り上げられてしまうのだ。

 他に北海道に伝わるアイヌ妖怪の「キムナイヌ」も大変なタバコが好きだと言われている。この妖怪も山にすんでいる妖怪であり、タバコを持っていると寄ってくるそうだ。寄ってくる前に少量のタバコを供えると害がないとも言われている