前川喜平元文部科学事務次官(67)は26日、国会内で開かれた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に関する野党合同ヒアリングに出席した。

 冒頭、前川氏は「私は1997年の夏から1998年の夏まで、文部科学省文化庁の宗務課長を務めた」とあいさつし、当時の旧統一教会に対する解散命令請求の可能性について調査した内容を出席した野党議員に明かした。

「私が宗務課長だった時期に統一教会の解散命令については、課内で議論していた。でも、十分な根拠を得られる段階ではないと考えた。当時の衆議院法務委員会で宗務課長として、統一教会をめぐる補償の動きを見ていると、解散命令に当たる判断に至っていないと答弁した。気持ちとしては解散命令請求したいと思っていた。(献金の強要などは)違法行為と認定されている民事訴訟を踏まえれば、統一教会は解散命令の要件に当たっていた」

 これに対し、同合同ヒアリングに出席した文化庁担当者は、過去に解散命令が出た「オウム真理教」「明覚寺」と旧統一教会の違いを指摘。旧統一教会の幹部らは刑事罰が確定したケースがなかったとし、「裁判所が示した基準に照らし合わせてみると難しいです。われわれとしては軽々しく(旧統一教会に解散を)請求することは慎重に考えなくてはいけない」と話した。

 司会を務めた立憲民主党の山井和則衆院議員は、前川氏に対し「なぜ岸田首相は自民党のためにも旧統一教会への解散請求をしたほうがいいと言ったのか」と質問した。

 前川氏は「統一教会に対応しないと、また生き延びます。20年、30年後には、また名称を変えるかもしれない。名前を変えながら、正体を隠しながら、生き延びることが考えられます。宗教法人制度とそれに伴う税制上の優遇を統一教会に与えられたままでいいのか、(岸田首相は)いましっかりやるべきです」と答えた。

 野党は来月3日に招集予定の臨時国会で、旧統一教会への解散請求を岸田政権に迫るという。