安倍晋三元首相の国葬が27日に東京・日本武道館で執り行われる。開催を巡っては、賛否が割れ、当日は不測の事態も懸念されるとあって、警備当局の緊張は相当なものだ。参列者、お茶の間それぞれの視点で国葬の注目ポイントに迫った。

【一般献花は何時間待ち?】当日、武道館近くの九段坂公園に一般向けの献花台が設けられる。7月に行われた安倍元首相の家族葬では、増上寺に設置された献花台に長蛇の行列ができたとあって、再び多くの人が訪れると予想される。

 今回、献花台へのルートは千鳥ヶ淵戦没者墓苑入口交差点が唯一の入り口で、献花台まで約800メートル続く千鳥ヶ淵緑道がルートとなる。最寄りは東京メトロ半蔵門駅で、同九段下駅からは交通規制があるため、場合によっては皇居を一周するハメになる。

 献花台直前では手荷物検査や金属探知機を用いたボディーチェックも行われる。公園周辺は献花者以外の立ち入りは制限され、道沿いにある千鳥ヶ淵ボート場も臨時で営業を休止するほど。献花台は当日、武道館に近寄れる唯一のスポットで、数時間待ちとなるのは確実だ。

 国葬反対者が紛れ込む事態を想定しており、献花台に置けるのは花のみでペットボトルや人形などは禁止。のぼりや横断幕の持ち込みも禁止され、牛歩などで行列を遅延させる行為も“強制退場”となる。設置時間は午前10時から午後4時までだが、徹夜組が出ることも予想され、警視庁は厳重な警備態勢を敷く。

【「国葬特番」視聴率争いは?】吉田茂元首相以来、55年ぶりとなる国葬で、NHKや民放各局は生中継する。国葬自体は午後2時から1時間半ほどで、フジテレビは「FNN特報」で2時間の特番を編成。テレビ朝日は「大下容子のワイド!スクランブル」を拡大して臨み、「徹子の部屋」を休止する。

 安倍氏銃撃の背景となった旧統一教会問題が発覚して以降、連日、特集を組んでいた「ミヤネ屋」(日本テレビ系)も国葬を前に“白旗”。放送はなくなり「NNN news every.特別版」の報道特番となる。

 同じく旧統一教会問題を取り上げる頻度が高いTBSは「ゴゴスマ―GO GO!Smile!―」「Nスタ」と通常通りのラインアップで、番組内に国葬の中継を入れ込む形になる。ゴゴスマ火曜レギュラーの元衆院議員の金子恵美氏は参列を表明。国葬後にいち早く現場生報告の中継が行われる可能性もある。

 一方、マイペースなのはテレビ東京。午後1時40分から5分間、特別ニュース番組を放送するだけで、その後は「午後のロードショー」で動物映画「ベートーベン」を放映する独自路線。国葬を見たくない視聴者の逃げ場となる。

【5時間缶詰めで長老議員は大丈夫?】当日、武道館には海外からの700人を含む4300人の参列者が出席する。カナダのトルドー首相のドタキャンがあったものの、米国はハリス副大統領が就任後、初来日。ジル・バイデン大統領夫人も参列するため、警備態勢が物々しくなるのは無理もない。

「海外要人が多い関係で、国内からの参列者は正午ころから会場入りし、式全体で5時間ほど武道館に缶詰めになる。飲料の持ち込みもできないので年配の議員や元職は相当つらくなるのでは」と議員秘書は話す。

 通常の政府イベントなら現職議員や元職は会場入り口まで車で横づけするところだが、今回は永田町の議員会館に集合し、乗り合いバスで移動。会場内は給水所こそ設けられるが、食事、缶、ペットボトルの持ち込みは禁止という。

「森喜朗さんや小泉純一郎さんら元首相経験者はさすがにVIP扱いで、乗り合いバスということはなく、直前に入って式後もすぐ帰れるでしょうが、役職のない長老議員らは特別待遇はないようです。ギブアップ組や文句を言う人が出てくるのは間違いなく、対応に苦慮するでしょう」(同)

 異例のマラソン国葬となりそうだ。