大相撲秋場所で2019年初場所以来、21場所ぶり2度目の優勝を果たした幕内玉鷲(37=片男波)が、偉大な先輩の〝魂〟を継承する。
賜杯を抱いた歓喜の瞬間から一夜明けた26日はオンラインで会見を行った。LINEに祝福メッセージが約150件届き「まだ返信していない人も大勢いる。今日1日かかると思いますね」と笑顔を見せた。
今場所は初日から6連勝とスタートダッシュに成功し、1横綱3大関を撃破。そうした中、賜杯を意識したのは2敗目を喫した12日目(22日)の取組後だった。前日まで1差で追っていた幕内北勝富士(八角)、幕内錦富士(伊勢ヶ浜)も黒星を喫して単独トップを守ったことから「相撲の神様が見てくれているんだなと」と感じつつ「これできれいさっぱり、悪いものは全部出た。明日から自分の相撲をやろう」と前を向いたという。
千秋楽は幕内高安(田子ノ浦)を本割で下したが、玉鷲は「(決定戦のことまで考えたら)スキができてしまう」と〝一発勝負〟に徹していた。勝ち名乗りを受け、感情を抑えたようにも見えたのは「涙が出ちゃう感じがすごくあった。でも、次の相撲(取組)もあるので、その邪魔しなうように。自分の心を鎮めた」と、玉鷲なりの配慮だった。
また、場所中に着ていた浴衣には特別な思いがあった。これは部屋の大先輩にあたる元横綱玉の海の反物で、玉鷲は「ネットで探していたら出てきて、ほしくなって。48年前のもので(浴衣に)したいと熱い思いになった」と明かした。
元横綱は現役中の1971年10月に27歳の若さで亡くなったが、本場所で一度も休場したことがなく、04年初場所の初土俵から歴代単独3位の連続出場1463回を誇る玉鷲に影響を与えているのは間違いない。玉鷲本人は「かっこいい横綱。知らない人も大勢いると思いますので」と、浴衣を通して〝鉄人の祖〟を発信するつもりだ。
37歳10か月の優勝は年6場所制以降で最年長となった。継続中の連続出場も含めて「記録」に注目が集まるが、玉鷲は「(記録は)相撲をやめるときに一番感じるもの。今は相撲に集中して、記録に走ったら悪い方向に走ってしまうので」ときっぱり。
さらに九州場所(11月13日初日、福岡国際センター)に向けて「番付がどこでも自分は変わらないのでしっかりやりたいと思います。また来てくれるお客さんを喜ばせたい」と気を引き締めた。












