国内外にビジネスホテルやリゾートホテルを展開するアパグループでは、今年4月1日付で元谷一志氏(51)が社長兼CEOに、これまで先頭に立ち経営を行ってきた父の元谷外志雄氏が会長に就任した。コロナ禍では自社のホテルを感染者の療養施設として数十棟規模で貸し出すなど、有事にもホテルの役割を果たしてきたアパグループの社長兼CEOとなった一志氏が本紙に胸の内を明かした。
これまではアパグループの代表取締役社長としてグループ専務取締役最高財務責任者、グローバル事業本部長を務めてきた一志氏がグループ全体の社長兼CEOに就任した。
「オーナー(外志雄氏)は生涯現役でずっと経営を続けていくと思っていた。そういった意味では、これほどきれいなバトンはないと思っている。もしオーナーが生涯現役だったらずっと走り続け、最後はバトンを握りしめた状態で倒れることになると思う。当初は、自分はそんな状態からバトンを引き受けると思っていた」
その外志雄氏は「アパグループは昨年50周年の節目を迎え、そろそろ世代交代の時期ではなかろうかと思っていた」と明かした上で、「感染者が増加した一昨年からの2年間はアパホテルの利益は大幅に縮小。それでも黒字経営を維持し、新規ホテルの開業計画を計画通りに進め、2020年と21年の2年間で計54の新規ホテルを開業した」とコロナ禍での実績を語った。
一志氏は「元谷外志雄は51期連続黒字を計上した。まさしく金字塔です。これを1年でも伸ばすことが私に求められた使命。非常に高いレベルの経営を求められ、引き継ぐことは非常に重い責務を負ったと感じている」と決意を語った。
ホテル業界がコロナ禍で大きなダメージを受ける中、プレッシャーは大きい。政府が6月から正式に海外からの観光客の受け入れを決定し、インバウンドの回復も見込める形となったが…。
しかし、一志氏は「政府は、1日に受け入れる訪日観光客の数に2万人という上限を設けている。年間では720万人になる。コロナ前の水準と比べると約5分の1の水準。これを考えると、まだまだインバウンドの本格的な再開とは言えない」と分析する。
さらに現在、コロナは第7波という状況になっている。
一志氏は「直近の宿泊への影響はわずかであると考えておりますが、今後の予約状況には影響があり、特に新規感染者数が急増した7月中旬からは、キャンセルが増加し先々の予約室数の伸びは鈍化しました」と明かした。さらに「行政から緊急事態宣言のような行動制限が要請されることがあれば、宿泊業界は再び厳しい状況となることから、弊社としても感染動向は注視しております」としている。
アパホテルといえば、コロナ患者の療養施設として客室を貸し出してきたことでも知られる。
一志氏は「医療崩壊を防ぐために側面から貢献したいという一念から『行政機関による一棟借り上げ方式による無症状者・軽症者の受け入れ』をいち早く実施してきました。医療崩壊はあってはならないことであるため、感染が拡大する中で今後も新たに要請があれば引き続き最大限に協力したい意向です」と断言した。
一志氏の経営戦略が注目されそうだ。












