親知らずは放置しておくと虫歯や歯周病になるリスクが高くなる。特に年をとると症状が進行している場合があり、治療が大掛かりになるケースもあるという。親知らずが痛くなる原因や予防方法を、歯科医師の園延妙子医師に教えてもらおう。

 ――親知らず(智歯)が虫歯や炎症の原因になるのはなぜですか

 園延医師(以下園延)親知らずは一番奥に生えてくるのでどうしても磨きにくい部分になります。しかも、曲がって生えたり、半分埋もれた状態で生えてきたりすることが多く、まっすぐきれいに生えてくる人は本当に少ないんです。そのため非常に磨きにくく、歯磨きで落としきれなかった汚れが原因となってプラークがたまってしまい虫歯や智歯周囲炎(親知らず周辺の痛み)の原因になりやすいのです。

 ――中高年になってから親知らずが痛みだすのはどうしてですか

 園延 親知らずが痛みだすときは症状が進行している状態なのですが、それまでにはかなり長い時間がかかります。例えば、健康な歯が虫歯になっても急に痛みだすわけではありません。ある程度進行して神経に近い場所まで虫歯が深くなると痛みが出たりします。そこまでいくのには時間がかかります。親知らずが歯周病になったときも同じで痛みが出るまで時間がかかるので、中高年になってから痛みを感じたりする場合があるのです。

 ――年をとってから親知らずを治療する場合は大掛かりな手術になることもあるとか

 園延 年齢が上がると体の成長も止まっているので歯や骨が固くなります。また、顎の骨と親知らずが癒着していることもあります。親知らずの虫歯や歯周病が長い時間をかけて進行した状態になると親知らず自体がボロボロになっていることもあります。こういった状況から、抜歯の手術でも歯茎を開いたり骨を削る大掛かりな手術になることがあるのです。

 ――そういうことですか

 園延 さらに、中高年になると体の不調も出やすくなるため、高血圧や糖尿病等様々な病気を抱える人が増えてきますよね。例えば、血液をサラサラにするお薬を飲んでいる場合は抜歯のときの服用はやめなければいけません。そのためにスケジュールの調整が必要になったり歯医者ではなく大学病院などで治療することになったりします。
 ――親知らずは早いうちに抜くのが良いのでしょうか

 園延 そうですね。まずは痛みがなくても一度、歯医者に行って親知らずの状態を診てもらった方が良いです。そこでまっすぐ生えていないことが分かったら、虫歯や歯周病になるリスクがあるので抜いた方が良いでしょう。

 ――親知らずのトラブルや大掛かりな手術になることを予防するためにできることはありますか

 園延 やっぱり、親知らずが生えていることが分かった時点で歯医者に行って必要なら早めの抜歯をすることをオススメします。抜歯しないうちは、しっかり磨いて汚れを残さないようにすることを心がけましょう。あとは、歯医者で定期的なクリーニングや親知らずの状態を診てもらってください。

 ☆そのべ・たえこ 白金こどものはいしゃさん院長。オーラルビューティークリニック白金副院長。長崎大学卒業後、東京医科歯科大学専攻生修了。勤務医を経て、2009年に現在のクリニックを開業。