【山本美憂もう一息!(最終回)】2020年5月、総合格闘家のカイル・アグォンさんと結婚しました。弟のノリ(徳郁さん)がつないだ縁です。カイルはノリ一家とグアムに渡った際、練習拠点のSPIKE22で私のコーチを務めてくれた人。初日に教わったコーチが試合のために米国本土に行ってしまい、困っていると「同じレスリング出身なので助けられるよ」と名乗り出てくれました。その後、毎日指導してくれ次第に信頼を寄せるようになっていきました。

 正直、3度の離婚を経験し「もう恋愛はいいや、結婚なんてしない」と思っていました。でもカイルと一緒にいると、自分の気持ちをため込むことがないし、すごく楽だと気が付いたのです。「この人となら、ずっと一緒にいられるかも」と思っていた矢先にプロポーズされ、素直にうれしかったです。

 カイルも私も、総合格闘技(MMA)を頑張っています。今も現役選手でいられることは本当に幸せです。どこまでやるのか、自分でもわかりません。理想にどこまで近づけるか、という思いがある限りは挑み続けます。でも練習が100%できなくなったら試合に出ることはできません。自分の100%を出した者だけがリングに上がることができるのですから。

 今後の目標としてはノリが残した「KRAZY BEE」ジムの役に立ちたいと思っています。グアムから日本に来て、これだけ長くジムに関わるのは初めて。今まで接点のなかった選手と毎日練習して、自分のなかでジムが家族のような存在になりました。若い選手たちのために、私ができることをしていきたいです。

 子供たちはこれまで私の進みたい場所に引っ張り回してしまいましたが、いろんな世界を見せられてはいるかな。世界にはいろんな人たちがいる。誰にでも平等に優しく、困っている人がいたら助けられる人間になってほしい。そして、それぞれ自分たちの目標に向かって没頭して、できたら私みたいにわがままに生きてほしい。わがままの意味は、自分がやると決めたら周囲を動かしてでもやり遂げる。その代わり、中途半端はダメということ。それほど何かに打ち込む人生を歩んでくれたらいいと思います。

「自由に生きていいなあ」と言われることがあります。確かにこれまでマイペースに、気持ちに正直に生きてきました。いつも予想外の出来事が起こるというか、プラン通りに進んだことがないんです。ただ、心がけているのは、どんな難しい状況でも少しだけでも前に進むということ。どれだけ忙しくても、時間を見つけて動けば、そこから見えてくるものが絶対にある。たとえ100%目標に到達できなかったとしても少しでもやればプラス。でも何もしなかったらゼロ。プラスがある方がいい。私は死ぬまで成長し続けたいんです。

 本当につらいのは家族を失うこと。いろんな経験をしましたが、それ以外の嫌なことや悲しみは、時間がたてば解決します。だったら落ち込んで何もしなかったら、時間がもったいない。

 だからこれからも、前を向いて「もう一息!」。(終わり)

 ☆やまもと・みゆう 1974年8月4日生まれ。神奈川県出身。72年ミュンヘン五輪代表の父・郁榮氏の影響で小2からレスリングを始める。87年に中1で女子初の全日本選手権を制覇(44キロ級)し、47キロ級も含め5連覇。同選手権では計8度の優勝を誇る。91年、年齢制限のある世界選手権に特例で出場し史上最年少の17歳で優勝。94、95年も世界を制した。2016年にMMAに転向し「RIZIN」で女子格闘技をけん引。3人の子を持つ母。156センチ。