【山本美憂もう一息!(28)】41歳の若さで弟のノリ(徳郁さん)が天国へと旅立ち約2週間後の2018年9月30日、RIZINでアンディ・ウィン戦を迎えました。グアムから日本に到着後、気持ちがつらくなった時に一度、妹の聖子が撮影した動画を見返しました。ノリが帰らぬ人となった日の夜、悲しさ、苦しさをこらえボクシングの練習でミット打ちをして泣き崩れた。あのつらさを私は乗り越えてきたんだ…。妹が言っていたように、自分を鼓舞することができました。

 リング入場の曲は、ノリが使っていたT.O.K.の「I Believe」を選びました。会場に姿を現す演出のエレベーターに足を踏み入れようとすると、ノリのテーマ曲が流れてきて、涙が出てきてしまいました。「試合だ、ダメダメ」と冷静さを取り戻そうとする私の隣で、機械操作をするRIZINスタッフの方が「頑張れ、頑張れ」というように何度もうなずいている。その姿を見て「よしっ」とスイッチが入りました。ピタッと涙は止まりました。

 試合では無我夢中でアンディに向かっていきました。3―0の判定勝ち。涙を流す私にアンディは「弟さんは必ず見ているからね」と優しい言葉をかけながら抱き起こしてくれました。彼女はとてもいい子。少し前にお父さんを亡くしたそうで家族を失う悲しさを知っていた。公開計量では泣きながら「よく短期間で試合に出てくれた」と言い、花束をくれたんです。アンディの優しさは忘れられません。

 11月、東京・青山葬儀所でノリのお別れの会を開きました。私は金髪にヒョウ柄のミニスカート姿で参列。おへそも出ていたかな。葬儀に似合わぬ派手さに驚く方もいたかもしれませんが、ノリのお別れ会なのに、喪服を着ていたらカッコ悪いし、喜ばないだろうなと思ったのです。ヒョウ柄は、私とノリが好きだったボクサーのナジーム・ハメド(英国)が試合でよくはいていたボクサーパンツの柄。しっかりとコーディネートするため、前日に原宿のドクターマーチンで合うブーツも購入しました。泣きすぎて、目がパンパンに腫れていたのでサングラスは最初から最後までかけっぱなしでした。

 会には本当にたくさんのファンの方が来てくれました。寒くて、小雨も降っていたのに、どこまでも列ができていて。本当にうれしかった。ありがとうございました。弟は多くの方を魅了して、MMAのファンじゃない人にまで認知されていた。どれだけ強くても、競技に興味がない人に知ってもらうことは簡単なことではない。ノリのすごさを今、同じMMAの選手になって改めて感じています。