勝負の分かれ目は何だったのか。日本中の注目を集めた立ち技メガイベント「THE MATCH 2022」(19日、東京ドーム)で、〝キック界の神童〟那須川天心(23)がK―1のエース・武尊(30)に判定5―0で完勝。一方的な展開となった「キック頂上決戦」をK―1の生みの親でもある正道会館の石井和義館長(69)と、現役ファイターの〝バカサバイバー〟青木真也(39)がそれぞれの視点から徹底分析した。
石井館長は頂上決戦を東京ドームで観戦。試合直後「いい試合だったと思います」と興奮冷めやらぬまま取材に応じ、「天心君の勝因はセコンドを含めたチームワーク。あとはルールをうまく使ったと思います」と説明した。
今回は「つかみは攻撃が伴う瞬間的なもののみ有効とする」というK―1にはない「ワンキャッチワンアタック」が認められた。石井館長は「サウスポーの天心君は、右のジャブを使いながら(武尊から見て)左側にうまく回り込めていました。特に今回はワンキャッチが認められるから、天心君は右手でクリンチしながらサイドや後ろに回り込めたんです」と解説。武尊が不慣れなルールを那須川が有効に使い、距離と位置を制した結果だという。
途中、武尊が得意の打ち合いに持ち込みそうになる部分があったが「それもクリンチで回避されてしまった」という。また1ラウンドのダウンは「武尊君のエンジンがかかり切らず、待ちきれないところでパンチを合わせられてしまいましたね」とし、武尊の今後にも期待を寄せる。
「全然、武尊君の価値は下がっていない。むしろ相手にルールも体重も合わせて、全て飲み込んでみんなの夢を実現させたんですよ。だからこれからも、格闘技を続けてほしい」と呼びかけた。
一方の青木も、那須川が右のジャブを放ちながら武尊の左側に回り、距離を制したことが勝因だったと力説。さらに現役選手の立場から「武尊は圧力をかけて前に出たかったけど、逆にナスガワ(那須川)の圧力を感じちゃったんじゃないか」と指摘する。青木いわく「圧力」とは「総合力というか。体力、精神力、技術、そのすべてで出るんですよ。武尊やナスガワクラスになると対峙した時点でわかってしまう」。
実際、試合後の那須川は「対峙して見たら、骨格とかは大きいけど、思っていたより小さく見えました。そこを思えたことが勝てた理由なのかなって。何倍も何倍も強い武尊選手をイメージしていたから…」と証言している。まさに青木の指摘通りで、武尊にしてみれば思ったような圧力がかからず、那須川の距離になってしまったということだろう。
青木は最後に「ナスガワ天心は不幸だ。負けられないのだから。そして負けられる武尊は豊かだ」と決戦を終えた2人にメッセージ。その上で武尊に「これから武尊の物語が始まるんだよ。格闘技とは、いかに立ち上がる姿を見せるかだ。グッドルーザーであれ! 武尊も遠藤哲哉も青木も落ちるところまで落ちた。ここからみんなで立ち上がろうじゃないか!」と珍しく泣けるエールまで送った。
ここで終わればよかったものの、付け足すように「武尊は1回、俺と一緒に皇治チャンネルに出よう。そこで俺とアニキが、どうすれば負けから立ち上がるかアドバイスを送るよ。俺たちほど負けから立ち上がるのに慣れている人間はいないだろ。世田谷で待ってるぞ」と呼びかけ、自転車で練馬方面に走り去った。












