米国でUFO調査機運が高まっている。米航空宇宙局(NASA)は9日、未確認飛行物体(UFO)に関する研究チームをこの秋に設置すると発表した。UFOについては国防総省が昨秋、調査を行う新たな部署の設置を発表。先月には議会で約50年ぶりとなる公聴会が開かれた。宇宙に関するプロフェッショナル組織・NASAは何をやるのか。
NASAがホームページに掲載した発表文によると、調査は今秋に始まり、約9か月かかる見通し。まずは地上や宇宙からの観測データなどを広く集め、手掛かりを拾い上げることを目指す。安全保障や航空安全に役立てる考えで、来年夏ごろには成果をまとめる。
調査の主眼は未確認空中現象(UAP)。飛行中の航空機や一般に知られた現象であるとは説明できない事象の解明に挑む。「UAPの観測が限られていることは、そのような現象についての科学的結論を導くことを困難にしている」とNASA発表文は現状を説明する。「NASAは、科学的な手法は強力であり、それはここにも当てはまる」という担当者のコメントを伝えた。
同担当者は「我々は宇宙から広い範囲で地球を観察する手段を持っており、それが調査における活力源となっている。未知のものに対する理解を助けるための、道具とチームがある。それこそが科学の定義。我々が行うことだ」と続けた。米国では国防総省も一昨年にUAPの動画を公表し、調査組織を立ち上げて同様の現象の解明を図る。空は主に空軍の管轄だが、軍用機の活動範囲には限界がある。宇宙専門のNASAが乗りだせば、より多くのデータを集めることが期待できる。
チーム代表は宇宙物理学者で、プリンストン大で要職を務めるなどしたデビッド・スパーゲル氏が務める。NASA発表文で同氏は「観測例が十分でないため、我々の最初の課題は単純に、最も強固なデータをできる限り集めることだ。市民、政府、非営利組織、企業などいかなるところからのデータも検証する」と訴えた。
今回発足させるチームは国防総省の組織とは別物だが、UAPの“正体”に光を当てるため、NASAは政府と広範に調和がとれた活動を進めていくという。調査に際しては科学、航空学、データ分析などの分野からの助言も受け入れる。
一方、NASAは地球外生命の存在条件や探索方法などを研究する「アストロバイオロジー」の分野にも力を入れているが、今回の発表の際には、UFOが「地球外起源だとの証拠はない」とあえて断った。
NASAによると、UFOの報告は400件以上あり、航空機や自然現象の可能性もあるため、UAPと呼んでいる。中国やロシアの新技術が交ざっているとの見方もあり、今年5月には下院が約50年ぶりの公聴会を開催したが、軍事的な観点での分析は多くが非公開だ。これに対し、NASAは発表文で「NASAの公開性、透明性、科学的誠実さという原則にのっとり、レポートは広く共有される。すべてのNASAのデータは一般の人々のもの」とフルオープンを約束。閲覧や研究のため、リポートへのアクセスを容易にすることも付け加えた。












