インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」元管理人、「ニコニコ動画」の命名者としても知られるひろゆきこと西村博之氏(45)がフランスから単独インタビューに応じた。停滞する日本経済を放置し続けた上の世代に「大人がふがいない!」とチョップ。そして、インフルエンサーの数にばかり踊らされるメディアや若者たちには「本当にいいものを見抜く目がない」とドロップキック。自身を〝ご意見番〟と見なす風潮に〝ひろゆき節〟で一刀両断した。

 ――ツイッターのフォロワーは162・3万人、ユーチューブのチャンネル登録者数は151万人。今や〝ネット界のご意見番〟だ

 ひろゆき う~ん、僕をご意見番だとか重鎮だとか思っちゃっている人たちって、僕の話をちゃんと聞いてない人のような気がするんですよ…。どう考えたほうがいいですよ、この情報は調べたらわかりますよといった考え方をしゃべるようにしてるので、〝この人が言うことは正しい〟みたいな考え方をしてる時点で、あんまり僕の話を理解してないなって(笑い)。

 ――しかしフォロワーの数が物を言う世界になっている

 ひろゆき はいはい。本当にいいものかどうかって見抜く目を読者も持ってないし、メディアの人間もそれを持ってないので「この人、登録者100万人なんすよ」だけで企画が通っちゃうみたいなことが起こる。一方で、インフルエンサー業って商品を紹介したり、服着て写真撮ったりとか基本的にはとがった発言しないほうが儲かるんですよ。

 ――フツーの人はネットで炎上したくない…

 ひろゆき 僕は別に商品紹介とかしないで、知ったこっちゃねぇよで言いたい放題していて、ツイッターで書いたことが世間にどんどん流れてる。でも、本来は池上彰さんとか大人でまともな人がまともな発言したらいいのに、そういう人たちが忖度して何も言わなくなってしまったのでこうなったんじゃないですか? だからまずは「大人がふがいない」ことが先なんじゃないかって思う。

 ――上の世代が悪いと 

 ひろゆき 日本経済が悪いのとか少子化の問題だとか結局、上の人たちが高齢者優遇の政治家にどんどん投票してるせいなんで。それで「日本良くないよね」って嘆くの見ると、「いやいやお前らのせいでしょ」って思いますよ(笑い)。

 ――すでに値上げが相次ぎ、お金に困ってる人も多いがどうしたら

 ひろゆき 僕の本にも書いてありますけど、お金があるから幸せになれるわけじゃない。生活レベルは上げない方がいいし、お金がなくても楽しく過ごしたほうが幸せなんじゃないかって。僕なんて行動が変わらないから、基本お金が溜まっていく一方で、このまま死んだら、うちの妻が遺産で豪遊するんじゃないですか(笑い)。さっきのフォロワーの話に戻ると、100万超えると周囲が勝手に「あの人は別格だよね」って思い始める。あらゆる場面で、数字で物事を判断してしまう時代になってしまってますよね。

 ――とはいえ、コロナ禍でひろゆき氏はユーチューブが大成功してチャリンチャリンでしょう

 ひろゆき いわゆる第三者が勝手に制作する動画「切り抜き」のおかげですね。2年前くらいから登録者が増え始めたんです。切り抜きの場合、いろんな人がいろんなパターンで素材(=元の動画)をいじったりして、うまく再生数が回っている人の手法を他の人がマネしたりして進化が早いなって思います。切り抜きをやってる人の収益の半分が勝手にうちの会社に入るので黙認みたいな感じですね。

 ――切り抜きやこたつ記事で嫌な思いをされたことは

 ひろゆき 何の問題もないです。僕が自分で言ってることだし、広げてほしくないことだったらそもそも言わないんで(笑い)。結局、収益化できない人は(切り抜きを)辞めていくので、一時期よりは落ち着いた感じがします。

 ――情報の〝引き出し〟が多いが、どうインプットしているのか

 ひろゆき 興味のあることをネットで調べるってのは割と昔から癖でやってるので。僕がある程度、興味持って調べたレベルの話でも、他の人は結構調べてなかったりするので説明できちゃう。あと、日本人は…

 ☆にしむら・ひろゆき 1976年、神奈川県生まれ。中央大学在学中に米国・アーカンソー州に留学。99年にインターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人となる。2005年に株式会社ニワンゴ取締役管理人に就任。翌年に「ニコニコ動画」を開始。15年に英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人になる。東京プラス代表取締役、ミライ検索ブラジル代表取締役など多くの企業に携わり、サービス運営、プログラマーとしても活躍する。