【東スポ2020 現場最前線】2020年7月24日の東京五輪開会式まで3年3か月あまり。国を挙げてのスポーツの祭典を成功させるため、現在組織委員会(森喜朗会長)が準備を進めているが、本紙も「東スポ2020」と題し、月1回ペースで東京五輪・パラリンピックにちなんだ独自企画をお届けする。第1回は「もしもこの人が開会式の総合演出をやったら…」。07年当時の五輪招致委員を務めたタレント・みのもんた(72)に“ズバッ!”と答えてもらった。

 五輪の開会式・閉会式は、開催国の威厳と価値を位置づける重要なセレモニー。それだけに、総合演出は大会の方向性を決定づけると言っても過言ではない。過去の夏季3大会ではチャン・イーモウ(08年北京)、ダニー・ボイル(12年ロンドン)、フェルナンド・メイレレス(16年リオ)と、いずれも映画監督だった。

 東京五輪でも、北野武監督(本紙客員編集長)をはじめ、さまざまなクリエーターの名前が取りざたされているが、アナウンサーとして「魅せる」「伝える」ことをなりわいにしてきた、みのも独自のアイデアを持っている。開口一番「僕なら、開会式会場の新国立競技場にドカーンと現ナマの山を置くね!」とぶち上げた。

「今回の東京五輪の開催費用が2兆円と言われている。それをそのまま見せるんですよ。みんなビックリするでしょ? で、宣言する。『閉会式で金メダル取った人に1億円、銀メダルに5000万円、銅メダルに1000万円やる』と。五輪もパラ、国も関係なくメダルを取った人にね」

 これは単に競争意識をあおるというだけではない。実は、みのにはじくじたる思いがあるのだ。

「僕はパラリンピックの選手がいまだに冷遇されていることに憤りを感じているんです。メダル報奨金が五輪(金500万円、銀200万円、銅100万円)とパラ(金150万円、銀100万円、銅70万円)で違うのはおかしくない? 遠征費用だって持ち出しが多いと聞く。だったら、1億円ぐらいあげてもいいでしょ」

 以前、みのは五輪選手が揃いの公式ウエアなのに、パラリンピックの選手がバラバラだったのを見たことがあるという。聞けば「私たちは買わなきゃいけないんです」。この扱いの差にブチ切れた。

「TBSの『朝ズバッ!』で『これは差別だろ!』とガンガン怒ったの。生放送でね(笑い)。そしたらある省庁から抗議があったんだけど、某議員は『もっともだ。統一しよう』と言ってくれたんです」

 現在ウエアは統一され、異なっていた監督官庁もスポーツ庁として統合された。だが、先のメダル報奨金をはじめ依然格差はある。競技の放送時間しかり、広告スポンサーの数しかり。

「一方で、ロゴの問題や新国立競技場の代替案の問題でムダ金をジャブジャブ使っている。さらにどこかの“ドン”の関連企業がなぜか潤ったり、利権だらけ。だったら選手にもっと還元すべきなんです。五輪の開催費用が莫大になっているのも問題。発展途上国じゃ無理じゃないですか。だったら『これだけかかりました』という開催費用の現ナマを見せれば世界に問題提起できる」

 そして開会式のクライマックス、聖火台への点火も“みの節”が冴え渡った。

「最終ランナーが階段を上っていって、最後に各国首脳にトーチを渡すってのはどう? トランプ大統領、プーチン大統領、習近平国家主席…彼らが一緒に点火する。これこそ平和の祭典ですよ。中には金正恩朝鮮労働党委員長もね。そのとき、同時に拉致被害者を解放させてみなよ。一気に国交正常化だよ」

 もちろん、これが実現する可能性は限りなく低いことは百も承知だが、五輪は国威発揚の側面があるのも事実。だとしたら「良い意味で思いっきり政治利用すればいい」というワケだ。

「1964年当時、僕は20歳で立教大の学生でした。ラジオでよく聴いていましたよ。もともとアナウンサーを志したのも、五輪の中継をしたかったからなんだ。あれで日本は敗戦から復興したんです。今回も震災からの復興というテーマがある。前面に打ち出して日本を再生させてほしいね」

 方法論は別にして、“みのの願い”に異を唱える人はまずいないだろう。

【演出の正式決定まで】

 東京五輪の開会式の演出は複数の段階を経て、決まる。まずは組織委の東京2020有識者懇談会(初回は近日中を予定)で総合監督を選出。その後、監督を中心に具体的な演出案を検討していく。

 有識者懇談会はもともと式典委員会と名づけられたが、より広い分野からさまざまな意見を集めるため、3月24日の理事会で名称を変更した。

 組織委の御手洗冨士夫名誉会長(81=キヤノン会長兼CEO)が座長で、構成員は11人。女子重量挙げ五輪2大会連続メダルの三宅宏実(31=いちご)の伯父で1964年東京、68年メキシコ両五輪金メダルの三宅義信氏(77)や天皇陛下の退位をめぐって設置された有識者会議の座長代理を務めた御厨貴氏(65)も名を連ねた。

 一方、聖火リレーについては聖火リレー検討委員会がすでに2回の会合を開き、コンセプトなどを話し合った。注目の聖火ランナーの選定やルートの決定は今後、本格的に議論される。