大相撲夏場所が8日に東京・両国国技館で初日を迎える。今場所から観客数の上限が定員の87%にあたる1日9265人に拡大。通常開催に近い形となり、力士たちは今まで以上に大勢の観客の前で相撲を取ることになる。夏場所を控えた4日、幕内琴ノ若(24=佐渡ヶ嶽)は観客に関する率直な思いを語っている。

「自分が新入幕の時には、もう無観客だった。お客さんがたくさん入っているという感覚がなくて、あまりイメージがわかない。(新入幕で)すぐに無観客だったり、人数を減らしたりとか、中止もあった。(満員の館内は)師匠(佐渡ヶ嶽親方)たちが取っていた小さいころの記憶が少しあって。ああいう空気感の中で、自分も取れるんだという…楽しみですね」

 新型コロナウイルス禍は、力士が相撲を取る環境も一変させた。一昨年3月の春場所は史上初の無観客開催となり、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は協会あいさつの中で「力士にとっても気持ちを整えるのが難しい、非常に厳しい土俵」と力士の心中を代弁。実際、モチベーションの低下を口にする関取も少なくなかった。

 同年5月の夏場所中止を経て、観客の上限は当初の2500人から段階的に拡大。ただ、かつての客席が埋め尽くされた熱気あふれる光景が復活したわけではない。琴ノ若のほかにも、小結豊昇龍(22=立浪)や幕内王鵬(22=大嶽)ら、〝大入り〟の館内で幕内の土俵に上がった経験がない力士は何人もいる。

 7月の名古屋場所からは、観客の人数制限が完全に撤廃される。コロナ禍の中で入幕した新世代の力士たちは、これから土俵で何を感じるのか。勝敗のみならず、心の変化にも注目したい。