ロシアのウクライナ侵攻が続く中、ロシアの下院議員が「北海道の全権はロシアにある」と主張したり、北朝鮮が15日の故金日成主席の生誕110年に向け、核実験や弾道ミサイル発射の兆候を見せるなど、日本を取り巻く環境も穏やかではない。特に気になるのは台湾への武力侵攻をチラつかせ、日本とも尖閣問題を抱える中国の動きだ。専門家は、ウクライナのような惨状が起きてはいないものの、日本でもすでに戦争が始まっていると指摘する。
ロシアに非難の声が上がっているが、日本の周りの覇権主義、独裁主義国家はロシアだけではない。日本海へ弾道ミサイルを発射したり約4年半ぶりとなる核実験も辞さない北朝鮮、尖閣諸島周辺で挑発行動を繰り返す中国もある。とりわけ「一つの中国」の名のもと、台湾侵攻をちらつかせる中国の動きが危険視されている。
尖閣諸島を台湾侵攻に利用する可能性も指摘されているが、海外から狙われる日本人の個人情報の実態を明かした「スパイ」の著者で、外国人犯罪対策講師の坂東忠信氏は「中国に関しては今がまさに“戦争の本番”と言っていい」と話す。
ウクライナのように死者が出るような事態になっているわけではないが、戦争の本番とはどういうことなのか。
坂東氏は「一人っ子政策が行われてきた中国では、日本以上に“家”の存続を重視しており、兵士1人が亡くなると、その遺族全員を黙らせるくらいの金額が必要になる」と明かす。そのため多数の兵士が戦死するような事態になるとお金も払えず、民主活動家も黙っていない。解放軍も言うことを聞かなくなるどころか独自の動きをしかねないので、ロシアのように「白兵戦で多くの兵士が死ぬような戦争はできないんです」という。
結果として中国ができる戦争とはサイバー攻撃やドローン攻撃、民族弾圧のようなもの、あとは遠くから撃ち込む核弾頭も搭載可能なミサイルなど自国に被害の出ない形に限られるが、坂東氏は「警察庁長官が人民解放軍のサイバー攻撃を認めている。解放軍が組織的にやったというのは軍事力に当たります」。今まさにサイバー攻撃やさまざまな工作が行われているため、「戦争中」だというのだ。
親中派も多い台湾はもちろん、日本に対しても攻撃が行われている。
「『スパイ』にも書きましたが、俳優やダンサーといった文化人の中国人が政治家に接近し、中国人女性を秘書に潜り込ませます。秘書は資金パーティーに中国人をいっぱい呼んで資金を集め、その政治家は政党から公認を得られます。中国人に選挙権はないですが、中国の一帯一路を推進する経済団体などを設立し、その設立イベントに政治家が議員会館を貸したりする。文化人枠で接近して、最終的に中国の国策を日本国内で実現させる足掛かりをつくっています」
さらにインフラへの触手も伸ばしている。過疎化で手放された山林が買い占められたり、経営破綻したゴルフ場に太陽光電池を設置したりと、気が付いた時には“手遅れ”の状態になっている。
中国では私有財産の保証が絶対ではないため「国策が中国人の本能に沿っている。自発的に接近している人に働きかけて情報をもらい、話が整ってくると政治家が出て行って働きかけるという形です」という。
血みどろの戦いは起きないが、こうしたさまざまな攻撃が繰り返され、いざ物理的な有事が起きた際にはすでに手遅れの可能性が高い。
「日中間の戦争のイメージは、沖縄に解放軍が来て…というのがあるかと思いますが、相手を無力化させれば済む。台湾海峡に展開して『いつでも日本への物資を止められるよ』という状況をつくり、アメリカが何の反応も示さなければ十分。国際法違反にもならない」
島国の日本はシーレーンを止められれば万事休すだ。どう対応すればいいのか?
「例えば、それなりの破壊力を持った原子力潜水艦が東シナ海のどこかにいますよ、というような『やりやがったらただじゃおかない』という力を示すしかない。中国と同じことがいつでもできると見える形にしておかないと」
すでに戦争は始まっている――。












