ロシア兵の命は軽い…。ウクライナに侵攻したロシア軍が、一時制圧したチョルノービリ(チェルノブイリ)原発の研究室から大量の放射性物質を略奪したとウクライナ当局が発表し、その扱い方が懸念されている。危険極まりない核物質。軍事ジャーナリストは「歴史的にロシア兵は使い捨て。盗んだ兵士は後日死んでしまうかもしれません」と指摘した。

 ウクライナ当局によると、ロシア軍は侵攻開始の2月24日から約1か月以上にわたり同原発を占領。撤退する際に133個もの放射性物質を略奪していった。同原発は稼働していないが、使用済み核燃料が冷却されている。一体、何が狙いなのか。

 軍事ジャーナリストの鍛冶俊樹氏は「高レベルの放射性物質はばらまくだけでも兵器となり得る。ロシア軍はそれらをウクライナにダーティーボムとして使われないように原発を占領していたのだろう。撤退時にも残しておくわけにはいかなかったということじゃないか」と話した。ダーティーボムは「汚い爆弾」とも呼ばれ、核爆発を伴わずに放射性物質をまき散らす爆弾だ。

 略奪には疑問も残る。同原発が1986年に事故を起こしたことはよく知られている。今でも立ち入り禁止になっている区域があるが、ロシア兵はそこで塹壕(ざんごう)を掘って被ばくしたとも伝えられているのだ。

「通常、放射能の専門部隊を連れて行くはずですが、塹壕を掘ってしまうくらいだから専門部隊はいなかったのでしょう。ということは知識のない一般兵たちが上司の命令を受けて、放射性物質を持ち出した可能性がある。防護服はあるのか、保管場所はあるのか。何の用意もなく持ち出したなら、その兵たちは放射性物質の影響で後日死んでしまうかもしれない」(鍛冶氏)

 これでは自爆行為ではないか。背景にはロシア軍の特性がある。

「ロシア軍は歴史的に兵を使い捨てにしてきた。ソ連時代からそう。スターリングラードの戦いでは『督戦隊』が突撃する兵士らの後ろに控えて、逃げ出す兵士を撃っていた。それで無理やり突撃させていました。また、トーチカの中では兵の足に鎖を付けて逃げられないようにして戦わせていた」(同)

 今回のウクライナ侵攻でもロシア兵から「演習だと思っていた」などの発言があったが、これもロシア軍らしいという。「兵士は上司の命令だけを聞いてればいいという考えで、何も教えない。人命尊重というものはロシア軍にない」(同)

 だからこそモラルも低下する。ウクライナの首都キーウ(キエフ)周辺からロシア軍は撤退したが、民家から略奪した家電製品などをロシアに送っている疑惑が浮上している。また、ロシア兵による強姦も起きていたという。
「命が軽いからモラルもなくなる。だからロシア兵は略奪も強姦も当然だと思っているフシがありますよ」と鍛冶氏は指摘した。今後、戦闘はウクライナ東部で激化するとみられている。「5月9日の対独戦勝記念日が一つの目安になる。それまでにロシアはマリウポリは攻略しておきたいのだろう」(鍛冶氏)。プーチン大統領の狂気は自国の兵士にさえ容赦がないということなのか。