【東スポ2020現場最前線】ボードを使って波に乗り、華麗なテクニックでギャラリーを魅了するサーフィン。来年の東京五輪で新たに採用された競技の一つだ。ただ、知名度の割に競技の見方や採点方法がよく分からない読者も少なくないだろう。そこで本紙は日本サーフィン連盟の宗像富次郎副理事長(58)を直撃。競技の魅力や注目選手、さらにジャパンチームが掲げる“流儀”などを解説してもらった。

 激しい水しぶきを上げる波にボード一枚で立ち向かう。来年の東京五輪で新たに実施されるサーフィンは個人的な趣味の範囲であればイメージするのは容易だ。しかし、競技として想像するのはいかがだろうか。ルールについては別項を参照してほしいが、日本連盟の宗像副理事長は「とにかく楽しんで見ていただきたい」と声を大にする。実は今回のサーフィン、これまでの五輪にはなかった取り組みを行うという。

 組織委によると、開催地となっている千葉・釣ヶ崎サーフィンビーチの敷地を活用し、競技期間中は“フェスティバル”を開催予定。そこではアーティストによるライブなどを計画しており「食事やアルコール等の販売もできればと考えています。競技はもちろんですが、サーフィンを通じてサブカルチャーを味わってもらうのも狙いです」(組織委関係者)。

 サーフィンは音楽、ファッションと親和性が高く、一つのカルチャーを形成している。それを今回の五輪でも体感してもらおうというわけだ。これには宗像副理事長も「このような『サーフィン文化』は世界中のサーファーでは当たり前になってきている」と“王道”仕様を期待している。

 もちろん、最大の見どころは何といってもダイナミックなライディング(波乗り)だ。いかに難易度が高く創造的な技を繰り出せるか。宗像副理事長が「勝つときはいい波に乗って、戻るとまたいい波が来てとリズムが生まれるんですよ。逆に最初の波が悪いと次の波も悪かったりね」と言うように、刻一刻と変わる波の状態をつかむのも選手の力量となる。

 ここで日本が世界に誇るトップサーファーを紹介しよう。

 5月に行われたプロサーフィンの世界最高峰、チャンピオンシップツアー(CT)バリ大会で日本選手初優勝を飾った五十嵐カノア(21=木下グループ)は日本人の両親を持ちながらも拠点を米国に置き、日米両国籍を持っていた。2017年までは米国選手として活動していたが昨年、国際サーフィン連盟(ISA)により国籍登録変更が承認され、日本代表としての活動を可能とした。日本連盟強化委員も務める宗像副理事長は「カノアは他の日本選手に『自分たちは世界で戦う技術を持っている』と示しているし『メンタル面で絶対負けるな』というところを見せてくれている」。個人だけでなくチームの相乗効果にも一役買っている。

 ところで、気になるのはタトゥーだ。サーファーにとってタトゥーはファッションの一部として認識されているが、日本では一般的に入れ墨のイメージが強く、嫌悪感を抱く人も少なくない。同副理事長によると、特に連盟の規則に禁止をうたってはおらず、あくまで個人の判断。「日本にも(タトゥーを)入れている選手はいるけど、世界選手権に出るようなトップ選手にはいないイメージ。鼻ピアスしている選手も公の場では目立たないようにしている」と説明した。ネット上で炎上するご時世でもあり、選手たちも自覚はしているようだ。ただ、日本代表のユニホームなどの身だしなみについては「指導している」とした。

 ちなみに、日本代表は海外サーファーのケアも積極的に行っている。ちょっとしたケガの手当てや栄養補給(バナナなど)を支給することも。「勝てばいいだけではなくて、互いに同じ条件で。体が悪いのに見てあげないで勝つより、ちゃんと治して同じ土俵でも勝てるというのを強さにしていきたい」(宗像副理事長)

 こうした波乗りジャパンの“流儀”を夏フェス感満載のビーチで観戦するのはいかがだろうか。

【ルール】競技サーフィンは波を乗りこなすライディングテクニック(技の種類や難易度、オリジナリティー、スピード、パワーなど)を5~7人のジャッジが採点して勝敗を決める。東京五輪には男女各20人が出場。第1ラウンドは4人×5ヒート(組)に分かれて各ヒート上位2人が次のラウンドに進出する。16人が出揃った第3ラウンド以降は1対1(マンオンマン)ヒートとなり、準々決勝、準決勝、決勝を行う。(あくまでテストイベント時点においてのルールで変更の場合あり)

【地上では味わえない楽しさ】宗像副理事長が本紙読者にサーフィン入門のススメだ。個人的な趣味のスタートとして「40代、50代の方々でも全然遅くないと思っています」ときっぱり。「仕事から一線を退いた方もスローライフに取り入れてみてはいかがでしょうか。一度波に乗ると地上では味わえない感覚が味わえる楽しい競技ですよ!」とアピールした。ボード、ウエアなどを一式揃えるのに初期費用は10万円前後のようだ。