気持ちが落ち込んだり、やる気が起きなくなるのはうつ病の症状の一つでもある。コロナ禍は人と会わないことや自粛生活がうつ病になりやすい環境にもなっているという。症状や治療法を精神科医の渡邊宏行医師に教えてもらおう。
――コロナ禍では精神的なストレスがたまりやすいように思います
渡邊医師(以下渡邊)ステイホームが増えたこともあり人と人との結びつきがかなり減っています。家族と接する機会はあっても会社の仲間や友人などと会う機会が減ったことで孤立が進みがちになっているようにも感じます。
――確かに…
渡邊 それに伴い、この先どうなるのだろうという不安感が強くなりやすく、自粛の流れから自宅にこもりやすくなって生活面が不規則になったり外出して気分転換するというのも難しくなっています。運動不足になりがちで、それが不眠につながるという、悪循環にも陥りやすい…。そういったものが要因となって不眠や軽い落ち込みが出てきたりします。
――うつ病の症状で周りの人が気づけるものはありますか
渡邊 どんなに明るくて社交的な人でも、万が一うつ病になれば何かしらの前兆や変化は見られると思います。例えば、職場に着てくる服やスーツ、ネクタイが連続で同じものだったり、ヘアスタイルがセットされていなかったりなど、ささいなことですが以前とは違う点が表れると思います。そういった変化に周りが気づくことができれば、本人の悩みや落ち込みを聞くきっかけになるかもしれません。
――自分で気づくことはできますか
渡邊 一般的には、睡眠に影響が出て眠れなくなったり食欲がなくなったりします。それ以外には、仕事での集中が続かなくなったりミスが増えたりします。普段家事をしている人だと、これまで1時間程度でできていたことが2~3時間かかってしまうなど。買い物に行っても何を買ったら良いのか分からなくなったりします。
――身体症状の兆候は
渡邊 よくあるのは、会社に行こうとしても眠気が強くて起きられないとか、仕事に行こうとすると気持ち悪くなって吐きそうになったり、職場までの移動中に実際に吐いてしまう方もいます。
――治療はどのように行われるのでしょうか
渡邊 精神療法という、患者さんの話を聞くことがメインとなります。ただ、それだけで良くなる方は少ないです。そのため、現状は薬物療法が主力。抗うつ薬や睡眠薬、気分安定薬などといったものが使われます。種類がたくさんありますので、まずは医師が患者に合わせて薬を選び、実際に飲んでみて合うかどうかをしばらく見ていきます。患者さんによっては、眠気が強くなったり吐き気があったりなど副作用がきつくて薬の服用をやめる方もいます。そのため、薬物療法を行う場合は、副作用がないかどうかを確認しながら治療を進めていく必要があります。
☆わたなべ・ひろゆき 信州大学医学部卒。大学病院、県立病院、民間の精神科病院を経て、心療内科クリニック勤務。並行して、嘱託産業医としても多数の中小企業を訪問し、こころとからだの予防医療を実践している。












