「ブギーマン」…それはヨーロッパにおける「なまはげ」のような怪人で、民間伝承中の都市伝説として語り継がれている存在である。ホラーを題材とした映画やゲーム、プロレスラーにまで使われるほどメジャーな存在である。

 ブギーマンの容姿は不確定で、人のような形をしているとしか分かっていない。不確定というのも、姿がおぼろげなのではなく、あまりにも違った容姿で語られてきたからだ。性別すら判断がついていない。不気味で恐ろしい人間のような印象であるのは間違いない。

 その存在の範囲は広く、ヨーロッパの国々のあちこちや米国で語られている。そして容姿以外の特徴といえば「子供をさらう」点だ。ブギーマンの発祥はスコットランドと言われているが、子供をさらうために家屋に出現する。

 ブギーマンはいともたやすく家の中に忍び込み、タンスやベッドの下に潜んで、子供をさらう瞬間を虎視眈々と狙っている。イタズラをしたり、早く寝なかったり、子供が親の言うことを聞かないでいるとさらってしまうのだ。

 要するに教訓のために作られた怪人のようである。「いい子にしてないとブギーマンに連れ去られるよ」といったように…。これが各家庭で語り継がれてきたために、国や地域どころか、近所同士でも、ブギーマンの身体的特徴が違っているという事実につながっているのだろう。

 これならばブギーマンが漠然とした印象になるのも納得していただけるだろう。しかし、家庭内だけでなく病気を広めるなどといった説もあり、信じた子供たちや大人によって、その存在がより邪悪な存在として強固なものになって定着したのかもしれない。

 ブギーマンと似た怪人としては、ドイツの「シュヴァルツェマン」、ブルガリアの「トルバラン」、デンマークの「ブッセマンド」など、やはり言うことを聞かない子供を連れ去る存在がいる。

 もちろん、日本のなまはげも含めて、世界中にブギーマンのような教訓のための怪人がいることは想像に難くない。