未確認生物には様々な発見経路がある。都市伝説のように生まれたものもあれば、妖怪のような伝承上の生物の中に実在をにおわせるようなもの、そして教訓から生まれたようなものもある。

 もちろん、新種の生物や実在の生物の誤認だってある。中にはきちんとした生物学者が目撃したにもかかわらず、目撃例も情報も続かなかったために未確認生物として語り継がれている存在もあるのだ。

 時は1867年、日本では11月に大政奉還が行われ、翌月には坂本龍馬が殺害された年である。そう、日本にも欧米の手が及んでいたころだ。

 前年の1866年にイタリアの軍艦マジェンダ号に乗って来日したエンリコ・ジリョーリという生物学者がいた。

 ジリョーリを乗せた船は翌67年9月4日にチリ沖、約1200マイルの付近を進んでいた。そこでジリョーリは今まで見たことのないクジラを目撃する。

 大きさは約18メートルで細長い体をしていたのだが、パッと見て他のクジラと違うのは…というか、そもそも海面に2メートルほどの大きな背びれのような突起が2つも顔をのぞかせていたのである。

 船の近くを泳ぐ、その物体は1時間半ほど目視できたため、ジリョーリは詳細に姿を観察し、イラストまで描いている。

 似たような報告は翌年にスコットランドで、さらに1983年にコルシカ島やフランスでもあったが、ジリョーリの報告のように明確な記録はされていない。

 この記録と、その後のあいまいな目撃情報の数から考えると、ひょっとしたらまだ発見されていないクジラの可能性もあれば、奇形などの個体の特徴にすぎないかもしれない。

 しかし「ジリョーリのクジラ」は存在したように思えるのだ。地球は広大で、人類が到達していない地点もあり、まだまだ謎が潜み、生まれ続けている。未確認生物が新たに発見されることがあれば、未確認だった生物がきちんと確認される日も訪れることがある。積み重ねられた知識による学術的な調査も必要であるし、常識にとらわれない柔軟な思考もまた大切なのだ。