48回目を迎えた東京スポーツ新聞社制定「2021年度プロレス大賞」の表彰がスタート! 今年は昨年同様に新型コロナウイルス感染拡大防止のため授賞式開催を見送り、各受賞者には個別にトロフィーと表彰状が授与される。併せて受賞者のインタビュー連載を開始。第1回は最優秀選手賞(MVP)を初受賞した新日本プロレスの鷹木信悟(39)だ。4日の東京ドーム大会でオカダ・カズチカ(34)に敗れ、IWGP世界ヘビー級王座を失った男の「22年の野望」とは――。
――昨年を振り返って
鷹木 まさに紆余曲折の1年だった。ただひと言で言えば充実してたな。勝っても負けても全身全霊、鷹木信悟のプロレスを出し切ったんでね。そういう意味の充実度は18年プロレスやってきて一番だったかなと。
――1・4ドームでベルトを失った
鷹木 ショックはでかかったんだけど、いつまでもそれを引きずってても仕方ない。ここから這い上がってこそ鷹木信悟の真骨頂なのかなと思ってるよ。オカダ戦で気づいたこともあったので、まだまだ俺もいけるなって手応えはあるよ。
――具体的には
鷹木 ここで決めるぞって時のたたみかけだよね。(35分超の試合で)あそこまで体力を残してたオカダもすごいし、あそこでドロップキック、開脚式パイルドライバー、レインメーカーの3連打出せるのもすごいなと思って。あのシーンだけ、もう何十回も見たよね。あそこにヒントがあると思ってるので、これから生かしていきたいね。
――8日横浜大会のノアとの対抗戦は大きな話題になった
鷹木 インパクトは大きかったと思うし、刺激的な戦いができた。今こうして自分自身が身軽になってることで、そういう(対他団体の)可能性は広がったんじゃないかな。プロレス大賞を取ったことによって、いろいろな団体の関係者、ファンが知る存在になってるわけだから。そういう意味では視野を広く戦うのもありかなと。俺はベルトを失ってこれから挑戦する立場だけど、他団体からは狙われる立場かもしれない。40歳になる節目だし、逆に鷹木信悟と試合をしたいんだという人間がいるならどんどん名前出してほしいね。
――40歳の節目であれば私生活もそろそろ…
鷹木 ハハハ、そうなんだよな~。36歳になる年に新日本に来て、約3年でIWGP世界ヘビーもMVPも奪取した。ただ、もう一つ大きな勲章である嫁さん候補もゲットできない俺もまだまだ未熟者だなと。男としてもレスラーとしても一人前になるには、もしかしたらそこが大事なのかなという気もしてきた。オカダとの差はそこだったのかもしれないな。
――母の千津美さんも心配していると聞いた
鷹木 母親もドームを見に来ててね。1・4の後、傷口に塩を塗るかのように「落ち込んでるとこ悪いけど、ベルトも取ってMVPも取ったんだからそろそろ結婚しなさい」と(苦笑い)。おいっ子が20歳だから、下手すると先を越されちゃうよ。
――結婚相手の条件は
鷹木 いいかげんな人がいいかな。「良い加減」の人ね。柔軟に対応できて、なんでも吸収できる人がいいな。
――見た目のタイプは
鷹木 (信じられないレベルで長考の末)…水ト(麻美・日本テレビアナウンサー)ちゃん。
――ミ、ミトちゃん?
鷹木 コロナ禍で朝のニュース番組とか見てたら癒やされて、見るのが楽しみになってきて…。俺がプロレスバカだから、常識があって笑顔がすてきな人がいいよね。
――ともあれ公私にわたり課題が浮き彫りになった1・4だったと
鷹木 それはそうなんだけど、実は次の日(5日)に藤波(辰爾)さんからLINEがきて「オカダ君との試合、ベストバウトだったね」って。
――それは励みになる
鷹木 〝ドラゴン〟の大先輩だし感激したよね。母親にはへこまされたけど、藤波さんのそのひと言で救われたよ。
――改めて今年の抱負を
鷹木 新日本プロレスの旗揚げ50周年は業界にとっても大きな出来事だと思うから、もちろん中心人物として盛り上げたい。50周年がスタートした1・4は王者として最後に入場できたけど、あの光景はやっぱり忘れられないし1回の思い出にしたくないしね。スタートで負けてる分、締めくくりの来年の東京ドームでは有終の美を飾りたいね。
【ハツラツファイトでマット界けん引】した鷹木には東京・江東区の東京スポーツ新聞社で酒井修代表取締役社長からトロフィーと表彰状が授与された。プロレス大賞の受賞はドラゴンゲート時代に獲得した2008年度の技能賞以来13年ぶり。酒井社長はコロナ禍にあえぐマット界をハツラツファイトでけん引した実績を高く評価するとともに「他団体でデビューし、業界盟主の至宝・IWGP世界王者に駆け上がる姿は、多くの人の感動と共感を呼びました」と称賛した。
☆たかぎ・しんご 1982年11月21日生まれ、山梨・中央市出身。浜口道場を経て2004年10月3日のドラゴンゲート博多大会でデビュー。18年10月の新日本プロレス両国大会でロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンに加入。21年6月の大阪城大会でオカダ・カズチカとのIWGP世界ヘビー級王座決定戦を制し第3代王者に輝いた。必殺技はラスト・オブ・ザ・ドラゴン。178センチ、100キロ。