再浮上の可能性は――。女子テニスの世界ランキング44位の大坂なおみ(24)は、4大大会・全米オープン(29日開幕、ニューヨーク)を控える。過去2度(2018、20年)の優勝を誇るが、今季は精彩を欠く。それでも東レ・パンパシフィック・オープン(9月19日本戦開幕、東京・有明テニスの森)のトーナメントアンバサダーを務める沢松奈生子氏(49)はエースの状態に太鼓判を押した上で、3度目となる全米制覇の条件を挙げた。


 大坂は5月の4大大会・全仏オープン(パリ)1回戦で敗退後、左アキレス腱の負傷で離脱。8月に復帰を果たすも、4年ぶりに2大会連続初戦敗退の屈辱を味わうなど、思うような結果を残せていない。状態を不安視される一方で、沢松氏に悲観の色はない。

「試合から遠ざかっていたので、試合勘がどれぐらい残っているのかなという思いで、ここ1か月は彼女のプレーを見ているが、びっくりするぐらい試合勘がある。相当試合に近いような練習を積んできていると思う」と指摘。その上で「彼女の場合は崩れる要素の99%がメンタル。悪い時の彼女は一球のミスを自分で許せなくて、自分自身をどんどん追い詰めて、負のスパイラルのようにミスを量産する方向にメンタルがいってしまう。でも、それを落ち着ける方法を見つけたのでは」と分析した。

 言うまでもなく大坂の課題はメンタル面だが、沢松氏が改善傾向を感じたのは大きなプラス材料だ。「ミスをした後の彼女のプレーや表情に、以前とは違うものを感じた。メンタルの部分での成長がすごいので、あとは本当にきっかけをつかめるかどうか。きっかけさえつかめれば、全米も東レも優勝できる可能性は全然ある」と説明した。

 もちろん、簡単にきっかけをつかむことはできない。ただ、きっかけはふとしたタイミングでやってくるという。「彼女が(4大大会で)優勝した時も、負けそうになった試合を逆転で勝って波に乗ったことがあった。(高校野球の)甲子園でもよくあると思うけど、運とかタイミングなどのきっかけが必要」。一つの試合で大きな流れをつかみ、そのまま頂点まで上り詰めるケースはどのスポーツでも見受けられる光景だ。

 となれば、全米オープン1回戦から1月の全豪オープン準優勝で世界ランキング19位のダニエル・コリンズ(28=米国)と対戦するのは、かえって好都合だろう。過去3戦全勝とはいえ、いまや格上となった強敵相手の方が沢松氏の指摘する〝きっかけ〟をつかむ可能性も高まる。

 勢いに乗ったら誰にも止められない長所を、大舞台で発揮するのか。世界一に返り咲くチャンスはゼロではなさそうだ。