新型コロナウイルスのワクチン接種拒否を巡ってオーストラリア政府から国外退去処分を受けたテニス男子世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(34=セルビア)の今後について、地元セルビア紙が「中国とドバイの大会だけプレーする」と展望を報じた。

 ジョコビッチは入国時の虚偽申告なども重なり、オーストラリア政府から国外退去を命じられて帰国。しかし損害賠償を求めて提訴する方針で、今後は各国の大会で出場禁止となった場合に提訴を〝乱発〟する可能性も出てきている。

 そうした中、セルビア紙「クリル」は著名ジャーナリストのアンジャス氏の見解を引用しながらジョコビッチの今後を予想。「パンデミックが長引くと、ノバクは大きな問題を抱えることになる。パンデミックがさらに2年間続けば、ノバクはほとんどプレーしなくなる。グランドスラムやATP(男子プロテニス協会)トーナメントは、実際には西洋の大会だからだ」と指摘。すでに出場を禁じた全豪のほか、全仏、全英、全米と4大大会が開催される各国は新型コロナウイルスのワクチン接種を厳格に求める方針を打ち出しており、コロナ禍が完全に収束するまで今後数年間はジョコビッチはプレーできないと分析。4大大会だけでなくATPトーナメント全体もそうした方針を踏襲する公算が高く、テニスの表舞台から姿を消すことになるという見立てだ。

 そのうえで同紙は「彼がプレーできるのは、ドバイと中国のトーナメントだけだ」とズバリ指摘。欧米各国の方針に追随せず資金力も豊富な中国やアラブ首長国連邦(UAE)が、ジョコビッチの〝囲い込み〟を行って大会の顔にしようと画策すると予想した。

 各大会の出禁に加えてスポンサーの撤退も懸念されるジョコビッチにとっては、中国やオイルマネーが新たな〝パトロン〟になることは渡りに船だろう。テニス界の絶対王者の動向に注目が集まる。