「全豪オープン」Vへ 大坂に今こそ必要な「アリ地獄プレー」

2021年02月04日 11時55分

左からハレプ、大坂、バーティ(写真はすべてロイター)

 世界中のスポーツイベントが新型コロナウイルス禍で不透明な中、テニス界は新しいシーズンのスタートを切った。8日開幕の4大大会「全豪オープン」(メルボルン)には日本が誇る男女エースの錦織圭(31)、大坂なおみ(23=ともに日清食品)が出場。2人の目標はもちろん、4大大会制覇だが、その一方で今夏の東京五輪メダル獲得にも期待がかかる。そこで本紙は両エースの「特別な1年」を占うとともに、進化のカギを専門家に分析してもらった。

 昨年の全米オープンでは人種差別への抗議行動として黒人被害者の名前入りマスクを着用し、3度目の4大大会制覇を達成。いまや大坂は「世界一のプレーヤー」と言っても過言ではない。

 米経済誌「フォーブス」によれば、年収は女子アスリート史上最高となる3740万ドル(約39億3000万円)。今年に入ってスイスの高級時計「タグ・ホイヤー」、フランス高級ブランド「ルイ・ヴィトン」、米大手企業「ワークデイ」と立て続けに3社のアンバサダーに就任するなど、その“商品価値”はうなぎ上り。先日は米女子プロサッカーリーグ「ノースカロライナ・カレッジ」の共同オーナーになり、活動の幅を広げている。

 では、本業のテニスはどうか。佐藤氏が2021年シーズンの大坂に期待するのは「洞察力」という。

 大坂の武器といえば、一にも二にも圧倒的なパワーだ。たとえピンチになっても男子顔負けのパワフルなサーブで難局を切り抜ける。これは比類なき強みだが、佐藤氏は「彼女の長いキャリアを考えたとき、ずっとパワーで押すだけでは読まれてしまう。自分の攻撃に重きを置くのではなく、相手が嫌がるプレー、相手にテニスをさせない技を磨いてほしい」と指摘する。

 例えば、世界1位のアシュリー・バーティ(24=オーストラリア)はスライスの使い手として知られる。スライスはバウンドしないため、低い打点が苦手な選手はたちまち自滅してしまう。また、2位シモナ・ハレプ(29=ルーマニア)はコートカバー力が高く、守備範囲が広い。打球は速くないが、しっかりとスピンがかかったボールを打つことで、どんな状況でもディフェンスできる巧妙さがある。

 佐藤氏は、大坂にとって最大のライバルになる2人のプレーを「まるでアリ地獄にハメるようなテニス」と表現する。まさに今の大坂に必要な「老かいさ」がここにあるのだ。

 昨季からコーチを務めるウィム・フィセッテ氏(40=ベルギー)は頭脳派として有名。試合中はしきりにメモを取り、パワーポイントで戦術データをまとめている。パワーだけではない“大人のテニス”を目指す大坂にとって、同コーチの頭脳とデータは重要なカギを握るかもしれない。