最後まで平常心を貫いた。大相撲名古屋場所13日目(22日、愛知県体育館)、元大関で三段目の朝乃山(28=高砂)が大青山(22=荒汐)を寄り切って7戦全勝で三段目優勝を果たした。

 約1年2か月ぶりの本場所復帰は元大関の地力を見せつける格好となった。取組前に篠原(藤島)が敗れ、互いに勝てば優勝が決まる一番で朝乃山が大青山を一気に退けた。「素直にうれしいです。優勝のこと、その先のことは考えず今日も一に一番しっかり自分の相撲を取りきることだけ考えて土俵に上がりました」と率直な感想を口にした。

 昨年5月の夏場所中に新型コロナウイルス対策の規則(不要不急の外出禁止)に違反していたことが発覚。翌場所から6場所出場停止と6か月の報酬減額50%の処分を受けた。

 一時は引退が頭をよぎったが、師匠の高砂親方(元関脇朝赤龍)らの説得で思いとどまった。自らの不祥事を猛省し、稽古だけでなく掃除やちゃんこ番など部屋の雑務も担当した。そうして迎えた今場所はしこ名の下の名前を「英樹」から本名の「広暉」に変更。2日目(11日)から出場し、元大関として〝ノルマ〟の全勝Vで締めくくった。

 ファンも復帰を心待ちにしていた。取組のたびに客席から拍手を浴びた朝乃山は「土俵に入っていくときにお客さんから温かい拍手をもらって、呼び出しさんが名前を読んでくださるので、そのときにもう一度本土俵で相撲を取らせてもらえることに感謝の気持ちを忘れず、今日まで相撲を取ってきました」と感謝。

 また、プレッシャーを感じながら土俵に上がっていたことは間違いないが「一日一番しっかり自分の相撲を取りきる。勝ち負け関係なく本土俵に上がることに感謝の気持ちを忘れずと言い聞かせながら土俵の上に立ちました」と振り返った。

「今まで応援してくれた方々に自分の不祥事で申し訳ない気持ちがありましたが、1年間連絡くださった方々に支えてもらったので、少しでも恩返しができたかなと思います」と朝乃山。今、やりたいことを問われると「一番は師匠に報告したいです。周りで支えてくれた方々に連絡をしたいです」と即答した。

 最短で年内に関取復帰する可能性もある。元大関は「目標は決めていない」としつつ「今日優勝してまだ終わったわけではないですし、まだ来場所ありますのでしっかり今場所7番の相撲自分の悪いところ、いいところを確認してまた来場所につなげていきたい」と気持ちを引き締めた。