日本女子アマで前代未聞トラブル JGA幹部のカート接触でクラブ折られた古江、涙の5位

2019年06月29日 13時00分

 ゴルフの「日本女子アマ」最終日(28日、愛媛・エリエールGC松山=パー72)に前代未聞のトラブルが発生した。日本ゴルフ協会(JGA)の竹田恒正会長(78)らが乗ったカートが最終組の選手のキャディーバッグを乗せたカートに接触。優勝争い真っただ中の選手のクラブを折ってしまったのだ。運転していた山中博史専務理事(56)は謝罪の言葉を繰り返したが、選手のショックは計り知れず、ゴルフ界全体に大きな波紋を広げている。

 事故は最終組が10番ホールをプレー中に起きた。2打目地点横のカート道に停車していたカートの横を、JGA幹部が乗車したカートが通り抜けようとした際に接触。山中専務理事らは事態に気づかず、そのまま走り抜けてしまったという。

 折れたのはこの時点で首位を4打差で追っていた古江彩佳(19)の3W。スペアのクラブでプレーを続けたが、追い上げはかなわず、4打差の5位に終わった。精神的なショックも大きく古江は「愛用しているクラブ。悲しくなって涙が出てきた。許せることではない」と吐露した。

 山中専務理事は本紙の取材に当時の状況を「最終組のティーショットを見た後、グリーンに先回りしようとしていました。私がハンドルを切り損ねました」と説明。

「何かに接触した感覚がなかったと言えば、ウソになるが、クラブを折ってしまったとは思いもしませんでした」と振り返った。

 その後、古江が競技委員を呼んだことなどで事態を把握した山中専務理事はその場で謝罪し、ラウンド後にも改めて、本人や家族、関係者に謝まったという。

「ラウンド後は『分かりました。大丈夫です』と言ってくれましたが、大丈夫ではないことは分かっています。その場では非常につらい表情をしていました。100%私が悪い」。今後は速やかに理事会などに事態を報告し、進退を含めて対応を相談するという。

 山中専務理事は海外メジャーなどで競技委員を務め、リオ五輪ではゴルフ日本代表のチームリーダーだった。「本日(28日)中にJGAのホームページに私の謝罪文を出すように準備しています」としていたが、この日のうちには掲載されなかった。また、竹田会長は日本オリンピック委員会の前会長、竹田恒和氏(71)の実兄でもある。

 今回の事故はこの大会を経てプロになった選手たちにも衝撃的だ。過去に古江から進路相談を受けたこともある河本結(20)は「そんなことってあるんですか? クラブは個体差があるのでスペアといっても同じものはない。だからみんな大事にしているんです」と選手の気持ちを訴える。

 歴代優勝者でもある勝みなみ(20=明治安田生命)は「この2年、同い年の選手が勝っているので、次は私がという気持ちもあったと思う。相手が協会の幹部だと言いづらいというか、そういうところもあると思う」。ストレートに怒りをぶつけられない古江を思いやった。

「日本女子アマ」優勝者はプロテストの1次、2次が免除され、最終からの受験となるため、人生がかかった戦いという側面もある。ただ、当時の規則で1次のみ免除だった勝は「プロテストは独特の緊張感があって、私は2次でめちゃめちゃ緊張したんで、いきなり最終からって良くないと思いますよ」。勝の言葉は古江にとって、せめてもの救いになるだろうか?