フィギュアスケート男子で五輪2連覇の羽生結弦(27=ANA)が1日に公表したコメントを巡り、水面下で思わぬ騒動が勃発した。日本スケート連盟の公式サイトに記載された今季への意気込みの文面が昨年と全く同じだったことから一部ファンは「どういうこと?」「本当に現役続行?」と大混乱に陥り、中には連盟のミスを疑う声も…。そこでスケート連盟を直撃。ファンがざわついた騒動の真相に迫った。

 騒動の発端は、1日に更新された日本スケート連盟の公式サイトだった。羽生は特別強化選手で男子の1番手に掲載。顔写真、生年月日、出身地などに続く「ひとことコメント」の欄に次のように記された。

「いつも応援いただき本当にありがとうございます。今シーズンもより高みを目指して頑張ります」

 羽生の強化選手入りはすでに発表済みだったが、今季への思いが公表されたのは初めて。北京五輪後から去就が注目されていただけに「また今季も羽生さんが見られる」などと歓迎の声があふれた。ところが、喜びもつかの間、思わぬ事実が発覚。実は昨季に発表されたコメントと一字一句、同じだったのだ。

 この不可解な事態に、各メディアは羽生のコメントを報じつつも「現役続行」の表現を自重。いち早く気付いたファンからもSNSで「コメントが去年のままなんだけど」「本当に現役続行なの?」などと困惑の声が相次いだ。さらに、連盟の公式サイトはアクセスが集中したためか、一時は接続できない状態に…。揚げ句の果てには「昨年のコメントを間違って掲載した連盟が必死で修正しているのでは?」との臆測まで流れる事態に発展した。

 いったい、何があったのか。本紙は真相を確かめるべくスケート連盟を直撃すると「ページの更新にあたっては、各選手に確認を取ってあります」と説明。つまり、羽生ともコンタクトを取った上で、今回のコメントが公表されたことになる。そこで、昨年と同じ文面となった理由を問うと「たまたまコメントが同じだっただけだと思います」と回答した。

 さらに「昨年のデータが残ったミスではないのか?」と念を押すと「いや、そんなことはないです」と断言。連盟は羽生の正式な「今季への意気込み」であることを明言した格好だ。4月の強化選手発表の時点では、連盟は羽生から去就に関する意思表示が届いていないことを明かしていた。いまだ羽生自身は去就を明言していないものの、連盟の説明通りなら限りなく「現役続行」と言えそうだ。

 2月の北京五輪では人類初のクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)に挑戦。成功には至らず、4位に終わった後は「やり切った」と口にすると同時に「大好きなフィギュアスケートを大切にしながら極めていけたら」とも話していた。昨年と同じコメントを出したのは、人類初の大技成功への思いは一切変わっていない…という羽生なりの〝裏メッセージ〟だったのか。本人による意思表示が待たれるところだ。

【注目されるGPシリーズ派遣選手】北京五輪終了後、羽生は去就を明言しないままオフシーズンに突入。5月27日のアイスショー「ファンタジー・オン・アイス」(千葉・幕張)で久々にファンの前に姿を見せ、北京五輪エキシビション以来となる演技で会場を沸かせた。その後は名古屋、神戸、静岡と3公演に臨み、新シーズンへ向けてファンの期待は高まっていた。

 本格的なシーズン幕開けは10月下旬から始まるグランプリ(GP)シリーズ。各大会のアサイン(出場大会の割り当て)は決まっておらず、今月中旬に派遣選手が発表されるとみられる。そこに羽生の名前が入ることになるのか。動向に注目が集まる。