新王者の〝秘密〟とは? フィギュアスケートの世界選手権(フランス・モンペリエ)男子シングルで宇野昌磨(24=トヨタ自動車)は、独自のスケート靴を武器に初の金メダルに輝いた。

 以前は3週間あまりでスケート靴を履きつぶしてしまい、思うように練習が積めなかった。しかし、一昨年ごろから山一ハガネ(愛知・名古屋市)のブレードを使用するようになると、交換頻度が激減。「同じものを使えると感覚のズレが減る」と好感触を口にしていた。

 抜群の強度を誇るブレードだが、宇野は形状にもこだわりを持っている。山一ハガネの石川貴規氏は「ブレードの氷と接する面のカーブをストレートに近くしてほしいと要望があった。大げさに言うと、スピードスケートのブレードみたいなみたいな直線的な感じです」と明かす。

 なぜ、直線に近い形にするのか。石川氏は「個人の感覚なので分からない部分もありますが」と前置きした上で「カーブがキツいと小回りが利きやすいので、演技を軽やかにしたい場合はいいのですが、ジャンプに安定感を出したい場合はストレートの方が安定しやすいです」と説明する。今季の宇野は、フリーで4種類の4回転ジャンプを5本入れた高難度の演技構成で勝負。ジャンプの成功率を高めるべく細部にまで気を配る姿勢が、「世界王者」の称号につながった。