フィギュアスケートの全日本選手権(長野・ビッグハット)のアイスダンスは27日、出場5組によるフリーダンスが行われ、リズムダンス2位発進の注目カップル〝かなだい〟村元哉中(27)&高橋大輔(34=ともに関大KFSC)組は84・03点をマークし、合計151・86点で2位で大会を終えた。首位発進の〝夫婦カップル〟小松原美里(28=倉敷FSC)&ティム・コレト(29、小松原尊)組が優勝した。

 5組中4番目で〝かなだい〟がリンクに登場。手をつなぎ、見つめ合う2人――。演技直前に村元が英語で発した言葉は「天国で会おう」だった。フリーダンスのテーマはクラシックバレエ「ラ・バヤデール」の主人公の舞姫ニキヤ、戦士ソロルの愛の物語。村元は淡いピンク、高橋はえんじの衣装に身を包み、幻想的な世界を優雅に、そして情熱的に演じた。前日に痛めた村元の左足が懸念され、リフトで高橋が体勢を崩す場面もあったが、フィニッシュすると充実の表情で見つめ合った。

 試合後、村元は「無事に滑り終えてほっとしています」と第一声。高橋は「こんな状況で全日本という大きな舞台で滑る経験自体が、次につながると思います」と言いつつ、ミスしたことには「正直かなり悔しいですけど、この悔しさを次に生かすしかないと思っています」と前を向いた。

 また、村元は自身が発した「天国で会おう」という声掛けについて「ストーリー的に天国という妄想の世界で2人は踊る。ジョークっぽく緊張を和らげるために言いました」と話した。

 足の故障で心配をかけたパートナーへの思いやりが詰まったひと言でもあった。