日本オリンピック委員会(JOC)は23日、都内で評議員会を開催。支持率低迷中の2030年札幌五輪・パラリンピック招致が議題に上がった。

 現在、五輪招致への機運はお世辞にも盛り上がっているとは言えない。今年3月に実施された札幌市の住民意向調査では半数近くが反対。この状況に「現在の支持率のままでは厳しい」と危機感を募らせていたJOCの山下泰裕会長は、各評議員に意見を募った。

 評議委員会終了後、日本陸連の瀬古利彦副会長は山下会長のもとへ駆け寄って一つのプランを提言。8月28日に札幌市内で開催する「北海道マラソン」で市民へアピールし、五輪招致の機運醸成を図るというものだ。
 
 瀬古氏は「私は現地に行くので、そこで五輪招致を盛り上げようか、と。山下会長にも提案させてもらった」と説明。一方、山下会長は「陸連の副会長として、自分たちが何をできるか考えていただいた。今後もみんなで知恵を絞らないといけない」と話した。

 30年以上の歴史を誇る北海道マラソンは札幌中心部の大通公園が発着点。長く市民に親しまれる伝統のレースは2年連続で中止となり、今年は3年ぶりに開催が決まった。同市内では昨夏の東京五輪ではマラソン・競歩が開催されているだけに、瀬古氏は五輪招致をPRする絶好のチャンスととらえている。

 現在、30年大会の招致を目指しているのは札幌市の他にカナダ・バンクーバー、米国・ソルトレークシティー。スペインが辞退したことで「三つ巴」の状況だ。招致へ向けて道民・市民の支持率上昇は最重要だが、同時に国際オリンピック委員会(IOC)へのアピールも不可欠となる。

 東京五輪のマラソン・競歩の開催地が札幌へ移転した際に「サッポロラーメンを食べ、サッポロビールを飲み、身も心も札幌にささげた」と振り返る瀬古氏。評議員会後は「ぜひラーメンとビールで札幌を世界へアピールしたい」と目を輝かせた。

 札幌の開催が決まれば、1972年以来。来年春のIOC総会で結論が出る見通しだ。