米有力紙ワシントン・ポストが「東京五輪は天皇から重要な不信任決議を得た」と報道した。

 宮内庁の西村泰彦長官が24日の定例会見で、天皇陛下が名誉総裁を務めている東京五輪について「陛下は現下の新型コロナウイルス感染症の感染状況を大変心配されている。国民に不安の声がある中で、開催が感染拡大につながらないか懸念、心配されていると拝察している」と語った。

 そのうえで西村長官は「感染が拡大するような事態にならないよう(大会)組織委員会を始め、関係機関が連携して感染防止に万全を期してほしい」と強調した。

 天皇陛下による東京五輪への〝懸念表明〟に、海外でも大きな波紋が広がっている。

「ワシントン・ポスト」は「天皇は東京五輪の名誉総裁であり日本では広く尊敬されているが、政治的権力はない」としたうえで「彼がそのような重要で物議を醸すトピックについて話すことはまれだ。だからこそ彼の言葉は重要だ。警告は政府と国際オリンピック委員会(IOC)を当惑させるだろう」と新型コロナ禍が深刻化する中での東京五輪の開催論議に大きな影響が出ると指摘した。

 ただ同紙は「主催者の間に心変わりを引き起こすには、ほぼ間違いなく遅すぎた」とも付け加えており、開幕まで1か月となった現時点では開催中止はもはや難しいとの見解も示した。

 天皇陛下の〝お言葉〟は新型コロナ禍で強行されようとしている東京五輪に一石を投じることになりそうだ。